「いしい茶園」でオーナー制度
大磯町国府本郷在住の石井久和さん(45)が営む「いしい茶園」(松田町寄)が、お茶農家の後継者不足解消や地域ブランドを育てるため、一坪分のお茶畑のオーナーになることができる「ひとつぼ園主」に取り組んでいる。現在50人ほどがオーナーとなっており、5月にはお茶摘みを実施。石井さんは「ブランドを一緒に作っていくつもりで寄という場所を好きになってもらえれば」と手応えを感じている。
江戸時代の天保年間に初代・石井綱右衛門が畑を開き、米や葉タバコなどを経て曾祖父の代からお茶の生産を始めた同茶園。石井さんは7代目で、2019年に兼業農家だった父が亡くなったのをきっかけに跡を継いだ。「虫が嫌いと言っていた僕でも、父と一緒に茶畑を管理してくれていた父の友人に助けられ、続けられた」と感謝する。
体験の共有でブランド化を
石井さんを助けたのは人だけでなく、茶園から望む寄の景色。戸惑いながら茶畑の作業を続けている間も、ふと顔をあげたときに映る景観に心が癒された。「どんなにおいしいお茶を作っても、味の差別化は難しく、収益につながらない。でも『この茶園でお茶を飲む体験』なら、ブランド化できるくらいの魅力があると思った」と話す。
鎌倉でサッカーチームの監督を務めたり、飲食店のコンサルティングを行ったりしている石井さん。ファンを増やし、人と人とのつながりを生み出すまちづくりに興味があるといい、その発想から「ひとつぼ園主」も思いついた。