東洋初の臨海実験所が、かつて江の島にあった。開設したのはアメリカの動物学者エドワード・S・モース(1838―1925)。ダーウィンの進化論を日本に伝え、大森貝塚を発見した人物だ。10月22日(日)には「第38回江の島モース祭」が開催される。生前の功績について、主催するモース研究会に聞いた。
モースが初来日したのは1877年(明治10年)。動物学者として「進化論が当てはまらない生物」といわれたシャミセンガイに注目したが、アメリカではほとんど発見できず、日本に多く生息しているという情報を聞き、開国間もない東洋の国を目指して海を渡った。
東京大学の教授を務めながら、都心から近く、当時シャミセンガイが多かった江の島を拠点とし、小さな漁師小屋を借りて臨海実験所を開設した。場所は現在の恵比寿屋旅館の敷地内だったといわれ、今も実験所跡地の碑がある。
モース研究会の小野精司事務局長は「現地調査に熱心な科学者。飾らない誠実な人柄だったと伝えられている」と話す。滞在中の日記を書籍にして欧米に日本の魅力を広めた功績もあると小野さんは語る。
日本の人類学・考古学の基礎を築き、近代的な動物学をもたらしたモースの教えは、多くの人材を育て、新江ノ島水族館ではモースの写真や解説文を展示している。同会の副会長でもある新江ノ島水族館の崎山直夫館長は「モースの功績は歴史的にとても意義がある。ぜひ多くの方に知っていただきたい」と話す。
10月22日「献花と講演」
同会では、10月22日にモース祭を開催する。
第1部は、江の島北緑地広場にあるモース記念碑前で午前10時から献花式を行い、臨海実験所跡地碑を見学する。

江の島北緑地広場にあるモース記念碑
第2部は、市役所本庁舎5階で午後2時から「”モース流”研究する水族館」として江ノ島水族館2代目館長を務めた広崎芳次氏が講演を行う。資料代500円。定員は先着50人。
参加希望者は
氏名・電話番号・メールアドレス・参加希望(1部・2部・両方)を明記し、同会にメール(【メール】morse.studygroup@gmail.com)で申し込む。