「みうら療育マップ」と銘打った冊子が、このほど発行された。制作を手掛けたのは、発達障がい児のいる家族やそれをサポートする市内在住の7人。療育先やサービス内容のほか、チャート診断や体験談といった情報もまとめられ、我が子の発達に不安を感じる親などが共感できる工夫が盛り込まれている。
療育(発達支援)は、障がいがある、もしくはその可能性がある子どもに、個々の発達状態や障がい特性に応じて、今の困りごとの解決や将来の自立、社会参加をめざして支援することを指す。
悩める親の支えに
発起人は、三姉妹を育てる宮川亜希子さん。次女が1歳を過ぎた頃、名前を呼んでも振り向かないことに気づき、発達障がいを疑った。
「信じたくない。何がいけなかったのか」。自身を責め、涙する日々。寝る間も惜しみネットで調べると、発達障がい児には早期の療育が良いことを知った。市役所の子ども課に連絡し、保健師から相談に乗ってもらったものの、「そもそも療育に関する情報が閉鎖的だった」と振り返る。
「同じように困っている親の支えになれば」と事業所や病院などで知り合った仲間とともに2021年9月、「みうら療育プロジェクト」を立ち上げた。関係団体などから寄付を募り、冊子制作を開始。試行錯誤の末、今年8月に完成させた。
A5サイズ・16ページにわたる冊子には、子どもたちが描いた個性的なタッチのイラストが散りばめられている。加えて特徴的なのが、子育ての悩みから療育へとつながるチャート診断。「すぐに療育を受けたい親だけではない。『うちの子は違う』とネガティブに捉える親もいる」。一方的な情報発信ではなく、設問に「はい」「いいえ」で答えて得たアドバイスは「あくまで参考」という形式をとった。また、発達障がい児のいる家族の声として「先輩ママの体験談」も数多く掲載。さらに、保健や医療・療育、相談、福祉・その他に分かれ、出生から就学前までに利用できるサービスの流れや療育先を、一覧や三浦市・横須賀市の地図上に示した。
「『子育てに正解はない』と言われるように、子も親も十人十色の選択肢がある。3個より10個から選ぶ方が方がいい。気軽に手に取ってもらえたら」と宮川さん。
冊子は1千部印刷され、三浦市社会福祉協議会安心館や相談支援事業所エールなどで配架中。