介護・福祉事業所はこの10年で増加の一途をたどり、まちのあちらこちらでも施設や送迎車両を見かけるのが日常に。
そんな中でもひと際、各地で人気を集めて数年で拡大しているデイサービス「fureai(ふれあい)」。リハビリ特化型の同施設は清潔感のある店内と明るいスタッフが特徴ですが、さらなる人気の理由を探るため、2022年10月にオープンした西横浜店にうかがってきました。
少人数で1日3時間。長く通い続ける工夫が。
利用者の皆さんはお店まで送迎で来る人が多いそうです(中には歩いてくる方もいるのだとか)。今回うかがったのは朝9時すぎ。すでに利用者のみなさんは椅子にすわってお茶を飲みながら和やかに過ごしていました。
全体で簡単な体操を終えると、スタッフがひとりひとりに声をかけ、プログラムをこなしていきます。
fureaiの特徴のひとつは、どの店舗も少人数制ということ。週に1~3回ほど通う人がいて、1日あたり10人から18人ほどだそう。午前と午後にわかれ、それぞれ3時間で複数のプログラムをやっていきます。
- 岩盤足浴
- マシンリハビリ
- 介護整体(リラクゼーション)
岩盤足浴
人気のひとつが岩盤足浴。岩盤足浴は足を温めることで血流をよくするのがねらいですが、とても気持ちいいそうです。みなさん雑誌や新聞、脳トレなど思い思いに楽しみながら、時間を過ごしていました。お話したり、それぞれの時間をすごしたり。
マシンリハビリ
続いて、マシンリハビリはスポーツジムにあるようなトレーニングマシンで筋肉に刺激を与えます。もちろん、重さや回数といった負荷はその人に無理のないように続けていきます。
介護整体
介護整体は岩盤足浴とならんで利用者のみなさんが「気持ち良くていいわ」と話していました。ここではスタッフが丁寧に身体をほぐしてくれます。他愛のない話もしながら、みなさんリラックスしているようでした。
このほか、下半身に振動をあたえる機材をつかったリハビリや、平行棒を使った下半身のトレーニングなどにも取り組んでいました。
そして合間合間には席に座って、のんびりお茶を飲む時間もあります。みなさん明るく、おしゃべりをしたりととてもよい雰囲気に包まれていました。
みんな一緒に、ではなく、マイペースに。
施設長の仁平さんは以前、特別養護老人ホームや1日型のデイサービスに勤めた経験もあるそう。
「誰もが自宅など住み慣れた環境でマイペースにその人らしく暮らし続けることを望まれるのかなと思います。だからこそ、ここでのリハビリのような生活に必要な動作の機能を維持することが大事なんじゃないかと思うんです」
- fureaiでは、最初の体操は利用者全員でおこないますが、各プログラムはローテーションでバラバラに動いていきます。
「〇〇さん、この次はトレーニングでもいいですか?」そんな声がけにも利用者さんの意思を尊重する姿勢がうかがえます。
仁平さんは「リハビリは1回や2回で効果が出るものではなく、長く続けることが大事なんです。ですから私たちは、長く利用してもらえるように、毎回『来てよかった』と思ってもらえるように心がけています」と話してくれました。
- 室内も、スタッフの雰囲気も明るく、それによって前向きにリハビリに取り組む利用者さんも明るくなり、施設全体が介護施設というよりサロンのような雰囲気になっているのはそのためなのかなと感じました。
- まさにパーソナルトレーニングのように、スタッフが連携しながらひとりひとりの利用者さんに寄り添い、その人の状態を見極めて適切なプログラムにカスタマイズしているのが伝わりました。
「でも一番満足度に影響するのは、やはり利用者さんなんです。90歳や100歳を超えている利用者さんもいて、そういった方が前向きに頑張っているとみなさん励みにもなります。また、おしゃべりを楽しみにしてくださる方もいて、やっぱり施設をつくりあげるのは利用者さんたちなのだなぁと感じさせられます」
ケアマネとの連携も
また、介護保険において重要な役割を担うケアマネジャーさんとの連携も重視しているのがfureaiの特徴だそう。
「この人にどういう介護メニューが必要かを決めるのが、ケアマネさん。なので、利用者さんの日々の様子をできるだけしっかり報告することが重要なんです」
ケアマネジャーは日常的にかかわるわけではないため、その部分をfureaiのスタッフが担い、その都度必要なプログラムについて見直しているそうです。
まとめ
fureaiさんの印象はこれまでも、施設や職員さんが明るく、働く側としてもよい環境なのだろうなと思っていたのですが、今回の密着取材でわかったのは、その背景にさまざまに工夫をこらした仕組みがあるということでした。
そこで過ごす人がどうしたら健康で快適に暮らせるか――。それを常に考えながらスタッフさんが働いているからこそ、自ずと利用者さんも通い続けられる施設になるのだろうなと感じました。