全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」の患者、オリヴィエ・ゴアさんの日常を描いたドキュメンタリー映画『不屈の夏』(ステファニー・ピロンカ監督/106分)の上映会が2月23日㈮、逗子文化プラザなぎさホールで開催される。呼びかけ人で自身もALSを患う、逗子市在住の畠中一郎さん(65)は「映画をご覧になって、いま直面している問題を客観視してみてください。気持ちの持ち方ひとつで人生は違う面を見せてくれます」と語りかける。
同映画は2020年にALSと診断されたフランス人実業家 ・オリヴィエさんが、余命宣告を受けても人生を諦めず懸命に生きる姿を描いた作品。映画の中でオリヴィエさんは「人を助けることがミッション」「未来の患者のために戦う」と語っている。また「このドキュメンタリーはすべての人に手を差し伸べるものだ。些細なことでどれだけ自分の人生を台無しにしていたか、そして人生がどれほど美しい事か」と語る。
映画との出合い
畠中さんは昨年夏、休暇で訪れたパリで見ていたニュース番組で偶然、インタビューを受けていたオリヴィエさんを知った。6月に上映された同映画は現地で大きな反響を呼んでおり、オリヴィエさんは多数の番組に出演していた。
畠中さんはインタビューで話されることが、自身が代表を務める「一般財団法人すこやかさ ゆたかさの未来研究所」が掲げる「よりそう ささえる のりこえる」というメッセージと重なり、滞在中に同氏にコンタクトを取り、日本での映画上映の了解をとりつけた。
昨年11月には、特別試写会として新宿ピカデリーで上映。300人の会場は満席、NHKの密着取材もあり、後日放映された。一般公開に向けた準備が進む傍ら、草の根的な個別上映会で広めていく方向となり、最初に畠中さんが住む逗子市での上映が決まった。3月には和歌山県での上映も行われる。
当日は映画上映の前に、対談形式での畠中さんの講演会を実施。上映後にはオンラインでフランスとつなぎ、オリヴィエさんからメッセージが寄せられる予定。
絶望からの浮上
畠中さんがALSと診断を受けたのは21年8月4日。当時は「絶望の淵に立たされたような気がした」と振り返る。一方で人生の先が見え、「残された時間を意識することによって、最後を輝かせる、もう一花咲かせる挑戦をしよう」と決意した。「同じ境遇にいる人たちを救い、自分も救われることをしたい」と考え、診断からちょうど1年後の8月4日に財団を設立した。患者やその家族を孤立させないように寄り添い、落ちていく身体機能を支えるために、電動車いすといった最新器具やアプリなどを紹介している。また、新たな人生の意義と希望を共につくりあげ、病気を乗り越えていく手伝いもしているという。
映画上映にあたり、畠中さんは「みなさん人生に生きがいを持って生きていますか。生きがいを持って生きることが大切だということを忘れていませんか。この映画は有意義に人生を生きているかを問い直させられます。ぜひご覧になって下さい」とメッセージを送った。
開演は午後1時30分(開場1時)。終演は4時30分。全席自由、入場無料。入場に必要な無料整理券は逗子文化プラザホール窓口で配布中(先着500席)。
問い合わせは逗子市障がい福祉課☎046・873・1111(内線220)