横浜市営地下鉄センター北駅から徒歩3分、小学生を対象としたフリースクール「COSMIC Academy」が2024年4月に開校します。時間割がなく、学校にありがちな「〇〇しなければならない」から解放された場所とは…。フリースクールの今を取材してみました。
不登校の児童は右肩上がり。「学びの機会」はあるの?
文部科学省の調査によると2022年度の小学校の不登校児童は、前年度から20%以上増えて初めて10万人を突破しました。原因も多様化しています。「いじめ」や「ひきこもり」だけでなく、「先生(学校)と合わない」「学びの意義が分からない」など学校に〝行けない〟のではなく〝行かない〟という主体的な不登校も増えているようです。
社会的な解決策も「登校できるようにする」という思考から離れ、「不登校であっても多様な学びを受けられる機会を提供する」という方向に向かっています。
しかし、そこで保護者が頭を悩ませているのが、学ぶ機会をどうやって作るかということ。学校に行かない子どもたちの「学びの場」は、数えるほどしかないのが現状です。
そんな必要性から生まれたのが「COSMIC Academy」です。
教室長の松田裕司さんは「『学校に行かない』という選択肢が受け入れられるようになった一方で、学校に行かない子どもたちの『学びの機会』の選択肢が少ないのではないか、と感じました。この疑問がCOSMIC Academyを立ち上げた出発点でした」と話します。
「人間力の根っこを育てる」キッズフォレ
運営母体のキッズフォレグループは、横浜市を中心に保育園や放課後児童クラブなどを運営しています。「人間力の根っこを育てる」を基本理念とし、子どもたちの可能性を信じ、たくさんの体験を通して、感じる心・チャレンジする心を大切に育ててきました。
「本来、学びは自由で楽しいものです。興味があることを調べたり体験することすべてが学びであり、自分の頭の中に新しい世界をたくさん作り上げることが出来ます。学習の時間割を設けないことは、非効率に思われる方もいるかもしれませんが、長い目で見ればすべての経験は学びに繋がっていきます。『自分で考える力』を身に付けることで、困難に立ち向かい対応していく力をはぐくんでいきたいですね」と話す。
子ども一人一人に合わせて、過ごし方や学び方を考えていくオーダーメイドプログラム「COSMIC Academy」
「COSMIC Academy」のコンセプトは
①好きなこと・興味のあることから②本物に触れる③仲間と共に成長する④自分で考え工夫してやってみる⑤とことん探求 自分らしさを伸ばす⑥未来へ続く人間力!
床面積260㎡で、跳び箱やマット運動、ダンスなどができるスタジオや本棚のあるフリースペース、学習スペースなどを整備しています。
時間割はありません
体験型の学び(プロジェクト実習)など、ひとりひとりの興味に合わせて、一緒にオーダーメイドのプログラムを作り上げていきます。運営母体のキッズフォレグループは、保育園・学童保育の運営を通じて、ネイティブの英語教師や、体操・アートなどの指導者との連携・ノウハウを持ち、また、グループ施設では地域貢献の「子ども食堂」を行うなど調理施設も有しており、「好きなこと」「興味があること」への探求心をサポートする体制も充実しています。
ファシリテーターの1人を務めるのは、2007年から慶應義塾大学SFCでの講師などを務める樋榮(ひえ)ひかるさん。幼少期からの想像力と創造力や表現力を育む独自のプログラムを監修しています。また、月1回、保護者向け学び合いサロンを開催します。
松田教室長は「私たちの生活の中には、国語や算数、理科、社会が溶け込んでいます。大人は『先生』という立場ではなく、あくまで『ファシリテーター』として、子どもたちの自由な学びを実現していきたいと考えています」と笑顔を見せる。
COSMIC Academy 概要
時間:8:30~13:00
開所日:月~木曜日(年末年始・祝日除く)
利用料金:週1回/20,000円 週2回/30,000円 週3回40,000円 週4回50,000円(金額は税別。入会金・年会費はなし)※必要に応じて教材費などを徴収する場合あり。
午後からは学童保育「COSMIC JUNIOR」も
13時から20時は同じ場所が学童保育になります。在籍すれば、13時以降もそのまま過ごすことができるほか、バックグラウンドの異なる子どもたちと関わる機会も創出できます。そのほか、同施設内でキッズフォレが運営する「まなび」のクラブYBCへの入会も可能です。