一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ「神奈川版ライドシェア」の実証実験が4月17日㈬からスタートする。神奈川県の黒岩祐治知事と三浦市の吉田英男市長が5日に記者会見を開いて発表した。三浦市が実施主体となり、市内タクシー会社の協力のもと運行。期間は12月16日㈪までの8カ月間で、需要と課題を検証後、本格実施を目指す。
ライドシェアの愛称は「かなライド@みうら」に決まった。自家用車にドライブレコーダーを備え、かなライドのロゴマークを貼付したドライバーが、午後7時から翌日午前1時まで稼働する。
乗車は市内、降車は市外でも可。配車と料金決済はタクシーアプリ「GO」で対応する。運行や車両整備の管理は、市が「いづみタクシー」「京急三崎タクシー」の2社に委託。料金はタクシーと同額で、その半分がドライバーの収入になる。万が一事故が発生した場合は、市が契約した保険会社が補償する。
運行開始にあたって、県と市は3月までドライバーを20人程度募集。25人の応募があったが、辞退者が多く、31歳から65歳までの男女13人(三浦市在住11人・横須賀市在住2人)を採用した。今後も募集をかける予定だが、当面は1日5台程度の稼働を見込んでいる。
「経済効果に期待」
市内では、タクシー会社のドライバー不足やコロナ禍による来訪者の減少で、夜間に交通空白が生じている。こうした背景を踏まえ、県と市は昨年10月からライドシェアの導入を検討。今年度予算に県が3千万円、市が500万円を投じ、実証実験をするに至った。
記者会見で吉田市長は「ライドシェアの導入は地元飲食店からも強い要望があった。三浦に来るお客さまの滞在時間を増やすなど経済効果に期待したい」と述べた。
記者会見当日から3日間、普通二種免許を持たない人向けの認定講習が、潮風アリーナなどで行われた。今回ドライバーに選ばれた一人が、横須賀市衣笠に住む渡辺正行さん(47)。普段は高円坊にある福井記念病院で精神科の看護師として勤務するが、元々は都内でバスの運転手や自動車学校の指導員として働いていた。自家用車はセダン型で、自身は酒が飲めないという。実証実験を前に渡辺さんは「最近では人口が4万人を切るなど、にぎわいを失いつつある三浦市。まちの魅力を多くの人に知ってもらえば、移住者も増えるはず。活性化の一助になれば」と思いを語った。
都内のほか一部地域で8日から始まった「日本版ライドシェア」の運営主体はタクシー会社で、神奈川版とは異なる。県と市も将来的に運営主体を自治体からタクシー会社に移行したい考えだ。