例年3月に開催される春の風物詩、高尾梅郷梅まつりが今年で40回目を迎えます。「観光高尾」の周知などを目的に始まった「梅の植樹」をきっかけに誕生したこのまつり。開始当初は1万人ほどの来場だったがここ数年は3万人を超えるほどになりました。「ここまで大きな観光資源になるとは」と、高尾梅郷協会の前田利雄会長(77)は話します。
「高尾梅郷」の歴史
来場当初の3倍1万本の「名所」高尾駅、京王高尾山口駅から徒歩でおよそ15分。旧甲州街道と小仏川に沿って点在する梅林と梅の木は総称して「高尾梅郷」と呼ばれています。梅は2月下旬から3月中旬にかけて香り高くほころび、地域に春の訪れを告げています。
「先人たちが集い、この西浅川・裏高尾地域に梅の郷づくりを決意しました。1962年(昭和37)、花火をあげ植樹祭を盛大に開催したそうです」(前田会長)。もともとこの地域は「適地」と言われ梅栽培が盛んだったそうです。「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」の和歌で知られる菅原道真の銅像が浅川町にあった縁から、たくさんの梅が植えられた、とも言われています。
1964年(昭和39)、梅郷の発展と「観光高尾」を広く宣伝していくことを目的に同協会が発足。その後、地域内の民家の庭先や山の斜面、畑などで植樹が続けられ1972年(昭和47)頃には1万本を有する「名所」になりました。「これだけの数を植えるのは大変な作業であったと思います」と前田会長は立ち上げに携わった「先輩」に敬意を示します。
「梅の木が大きくなるとともに、まつりの機運が高まっていきました。『多くの人に見てもらおう』と。協会で九州や京都など、全国の梅郷に視察を重ねたのち、1980年(昭和55)、第1回を開催しました」。
3つの梅林が会場となり、町会による露店が出店。チェックポイントをまわると景品がもらえる「スタンプハイク」は当初から行われていました。
「るるぶドットコム」の梅の名所ランキングで全国4位になったことも
協会によると、初回は1万人に満たない来場者だったが今では3万人を超えるそう。一昨年は最高となる3万5千人を記録。また同年発表された観光サイト「るるぶドットコム」の梅の名所ランキングでは全国4位に選ばれました。「それほど大きな規模ではありませんが、多くの来場があることにはとても感謝をしています」と。
例年訪れるという男性は「この地域は雰囲気がいいですね。エリアが広い(約4・5㎞区間に点在)のでのんびり歩いて楽しめるのも人気の秘密では」と話しました。
今年の開催は3月9日(土)、10日(日)。24日(日)までは1400本ある木下沢(こけざわ)梅林・梅の里が特別開放されます。なお今回は40回を機にイベント名に「先人の夢をつなぐ」という「思い」を追加。前田会長は「観光資源としての梅郷、梅まつりをずっと続けていきたい」と話します。