明けましておめでとうございます。今回は門松とクロマツについての話です。門松には普通「クロマツ」を利用しますが、この風習は日本独特のもので、1070年頃の文献にはじめて「世俗が門戸にさす」とあり、源氏物語や枕草子には出てきません。松を利用する理由の一つに、常緑で剛健、また変幻自在とも思える多様な形姿をしており、荒れ地でもところかまわず根づく生命力があることから、古来より長生きの象徴や不老長寿の願いを込め、めでたい木とされてきました。
クロマツの花は、4〜5月に同じ株の中で別々に咲き(雌雄同株)、雌花は今年伸びた枝の先端に紫紅色の楕円状球形が1〜3個、雄花はその下部に多数固まってつきます。そして雄花は花粉を飛ばした後には脱落、雌花は受粉後閉じたまま緑色に変色し、翌年の秋まで成長して、茶褐色のマツボックリ状になっていきます。熟すと固い鱗片が開き、中から種子が飛び出します。種子からの発芽は良く繁殖するので、ここにも長寿と子孫繁栄を願う意味があります。夏から秋にかけて、一枝に今年のマツボックリ(緑色)と、昨年のマツボックリ(茶褐色)が同時に見ることができます。