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<県立生田高校・科学部>2025年7月に研究成果を米国・アラスカ大学GLOBE国際会議で発表

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<県立生田高校・科学部>2025年7月に研究成果を米国・アラスカ大学GLOBE国際会議で発表
普段、探求活動などを行っている生物室で渡米の意気込みを語る科学部の部員

「地域河川・平瀬川の水質調査に関する研究」の論文

 県立生田高校(多摩区長沢)の科学部に在籍する5人の生徒が、7月中旬に米国・アラスカ州へ渡航し、アラスカ大学で開かれるGLOBE国際会議で、研究の成果を英語で発表する。歴代の科学部員によって受け継がれてきた生田高校の研究が世界に示される。

2015年から「GLOBE指定校」に

 GLOBEは、環境意識の啓発や地球学習、理数教育の推進などを目的に観測・情報交換を行う、学校を基礎とした国際的なプログラム。同校は、地域の環境を測定・報告する「GLOBE指定校」に2015年から選ばれており、学校の近隣を流れる平瀬川の水質調査を続けている。

 今回、過去10年間の平瀬川の水質データと世界中の河川データを比較するなどした「地域河川・平瀬川の水質調査に関する研究」の論文が米国にあるGLOBE本部に高く評価され、アラスカ大学で開かれるGLOBE国際会議で発表する機会を得た。現地では研究発表のほか、アラスカの昆虫を調べるフィールドワークや、大学教授、関係者らと交流する機会も設けられる予定。部長の亀山紘一さん(2年)は「貴重な機会。発表だけでなくコミュニケーションもとれるよう、準備していきたい」と話す。

英語で発表

 発表にあたっては提出した論文をまとめたものを使用し、英語で行う。亀山さんは「しっかり練習してベストを尽くしたい。生田高校が世界に通じるんだと伝えてきたい」と抱負を述べる。渡米する他の部員も「日本の自然の美しさを海外の人に伝えたい」「人生に役立てたい」「海外で友人を作りたい」と意気込みは十分。顧問の根津玲子教諭は「一生にあるかないかの経験。1分1秒をむだにせず体験してほしい」と期待を込める。

 今回の渡米について野田麻由美校長は「現在のカリキュラムには過去に設置されていた自然科学コースから続く生物観察会などが残る。そうした科学的分野の教育土台と歴代科学部員の10年にわたる調査の継続があることも成果に大きく寄与している」とし、「日本を代表するという思いで世界を見てきてほしい」と部員にエールを送る。

クラファンで支援を募る【6月30日まで】

 加えて、先輩たちも部員の背中を押す。同校の同窓会は、物価高騰の影響を受けて値上がりする渡航費などを援助しようと、クラウドファンディング(ネットを介した資金調達)の特設ページ(https://ikuta-d.com/lp/science2025/)を立ち上げた。6月30日まで支援を募っている。

失敗しても笑顔

 科学部は1年から3年まで16人が在籍。日々、生物の生息調査や光合成など自分が関心のある研究テーマに沿って探究活動を行っている。1年生で唯一渡米に参加する稲垣颯大さんは「入学前の学校見学で部活を見て楽しそうだった」と語る。

 平瀬川の調査は毎週木曜日。橋の上から紐を付けたバケツを川面に下ろし水をくみ、持ち帰ってpH値や窒素濃度、鉄などを調べる。部員は「バケツの角度を工夫しないと水がくめない」「試薬を入れる前にゼロ調整(基準値をゼロに合わせる)するのを忘れた」など苦労話や失敗談も笑顔で話す。「自由な部活。GLOBEのテーマで行う研究もありスキルが磨けている」と亀山さん。根津教諭は「研究の好きな生徒が集まっている。みんなまじめで積極的」と目を細める。

調査している平瀬川

住所

神奈川県川崎市多摩区

公開日:2025-06-24

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