「生徒の個性を生かした絵づくりのお手伝いを」
そう語るのは、現在新百合ヶ丘(川崎市麻生区)、秦野で水彩画の指導を行う岡田ゆきおさん。「絵を描くことを通して、より充実した人生になることをお手伝いしたい」と柔らかな笑顔で語ります。
そんな岡田さんは現在、地域新聞「タウンニュース」多摩区・麻生区版で、季節の花をテーマに、月に1回、水彩スケッチコーナーを連載しています。
- ここでは、特別にその水彩画の描き方を5ステップでご紹介!ぜひお手元で日本の四季を感じてみてください!
花色のパレットvol.101「紫陽花」を描く
① 鉛筆で下書きをします。手前と左奥の花の一番大きく見える花を中心に、細かくなり過ぎないように注意します。
②全体に水を弾き、薄いイエロー、ピンク、紫、水色を太めな筆で垂らすように置いていきます。
③画面が乾いたら、薄めな紫色で初めに下書きした花の下側を花が浮き上がるように彩色していきます。
④暗めなグリーンで花全体の外側の輪郭を作るように彩色していきます。同時に左上の花を作っていきます。
⑤それぞれの花芯に水色の点を描き、葉をもう一枚描き、花全体の影を紫系の色で入れます。これで完成です!

完成品は、6月17日(火)〜22日(水)に、平塚花菜ガーデンで開催される四季のギャラリー「花の絵作品展」にて展示されます。
全体を2分のダイジェスト動画でおさらい!
描き方動画フルバージョン(約20分)にご興味ある方は、こちらへ
「もっと描きたい」人に直接指導を
今回の描き方講座、いかがでしたか?岡田さんは「もっと描きたいと思ってくれた人には顔を合わせて指導することもできる」と話します。生徒が持ち寄った絵の講評会がとても勉強になると好評の岡田さんの指導。
ここで、実際に生徒の声を聞くべく、岡田さんが講師を務めるグループ「水彩四季」の活動に潜入してみました!
生徒の思いを大切に

自ら筆をとり、生徒に指導する岡田さん(右)
新百合ヶ丘では、月2回、7人程度が集まるレッスンを実施。平日火曜日、水曜日に加え、土曜日にも開講しているため、現役世代でも参加しやすくなっています。その大きな特長は、「生徒自身が描きたいものに挑戦できるところ」。
30年近く前に撮影した思い出の風景や故郷を囲む自然環境など、題材は十人十色。生徒と共に写真を見ながら、「何が特に描きたい?」「どんな思い出がある景色なの?」と、会話を重ね、絵の構成を一緒に練るそうです。
岡田さんは、「何を大切にしたいか、人によって違う。写真を再現するのではなく、思いを表現するというイメージで描いてほしいですね」と真剣な表情で語ります。「『上手い絵』より『いい絵』を」。その指導方針を掲げ、生徒に寄り添います。
初心者も安心
グループレッスンではあるものの、岡田さんが全体を回り、一人ずつ丁寧に指導にあたる、個人指導に近い形のスタイルをとっています。そのため、自分の技量に合った作品に挑戦できるのも安心です。
講座には、全くの初心者だったという生徒も多いそう。「皆描いているものが違うから、出来栄えを比較することもない」と岡田さん。
ある生徒は「絵を描くようになって、普段何気なく見ていたものにも影があったり、これは何色だろうと考えることが多くなった。世界が広がったような感じがして楽しい」と、笑顔を見せます。
通信講座も展開
対面指導が難しい人のために、通信講座も展開している岡田さん。
詳細な「描き方動画」を毎月配信することに加え、生徒から送られてきた絵に、音声と画像で添削を行っています。ライフスタイルに合わせて、自宅でゆっくり学ぶ場としても重宝されているといいます。
多様なアート、広げる
七宝焼きを生業とする家に生まれ、幼少期からガラス絵の具に囲まれて育ったという岡田さん。コンピューターの技術者として働く傍ら、油絵を独学で始め、その後水彩画にも挑戦するように。
海外赴任時に出合った「陶磁器絵付け」の世界に魅せられ、1983年に工房を設立。洋食器・和食器など世界の絵付けを教えるようになりました。
塗り方や釉薬の相性など、基本的な指導からレベルにあった指導をしてくれます。「一つ一つ時間をかけて、存在感のある『物』を作る、面白さや豊かさを感じる」と教室に通う女性が語ってくれました。
以前、新百合ヶ丘駅前で行われていた「しんゆりアート市」に出店し、「イカちゃん物語」の手描き九谷焼シリーズを販売していたこともあったとか。
71歳の現役芸大生
講師、アーティストとしても活躍しながら、2023年3月には、京都芸大通信学部美術科写真コースに入学、現役の「芸大生」として新たな学びの世界へと飛び込みました。
「人生はアートだ!」
今、岡田さんが描く未来。
それは、多くの海外スケッチ旅行の経験や写真技術を活かして、風景画の題材を集めた「水彩画教本を出版すること」。さらに、様々な手法での作品を世界で発表する「アーティストになること」。
「70歳を過ぎておこがましいですが…」と岡田さんは謙遜しますが、夢を描くことに年齢は関係ありません。「人生はアートだ!」。その言葉を胸に、岡田さんは挑戦を続けていきます。