子どもの心を掴むユニークな作品を生み出す、ダンボールなどで大型製作を手がける涌井聰さん(伊勢原市高森・73)。定年退職後、会社員時代にはなかったものづくりへの情熱を、作品にぶつけています。そのきっかけは、5年前に地域で子育て支援活動を行う娘さんから、子どもたちの誕生日会の飾りを依頼されたことでした。
もともと手先が器用で、幼い頃から工作が得意だったという涌井さん。製作した飾りは好評で、徐々にごっこ遊びで使う大型製作の依頼が舞い込むように。その作品は、想像をはるかに超えるクオリティだと評判を呼んでいます。
これまでに涌井さんが手がけたのは、冷蔵庫やドラム式洗濯機、掃除機などの家電製品から、ピザ窯やポップコーンマシーン、レジといった大型作品まで多岐にわたり、その数は100に達するほどです。「見えない部分も作りこむ」こだわりで、掃除機の吸い込み口やレジで使用するカードのICチップなども再現。子どもたちはもちろん、そのリアルさに驚く母親たちも多いです。
依頼を受けるとすぐに頭の中で設計を始めます。身の回りにあるものを「これも使えるんじゃないか」と観察し、素材として活用できないか考えているそうです。時には小学生の孫にも意見を募り、改良を重ねています。
作品は伊勢原市の子育て支援グループ「イセハラコソダテ」のイベントなどで活用され、涌井さんは「子どもたちが真剣に遊んでくれるのがうれしい」と語ります。子どもの笑顔を糧に、今日も涌井さんの大型製作は進化し続けています。

子どもたちに好評のピザ窯