散歩の途中、子どもが突然しゃがみました。
何かを拾っています。石でした。
「見て。」
見ています。石です。
「きれいでしょ。」
そう言われると、そんな気もしてきます。
「持って帰る。」
やはりそうなりますか。
少し歩くと、またしゃがみます。二個目。さらに三個目。
石には不思議な性質があります。
拾い始めると増えます。
気づけばポケットが膨らんでいました。
「そんなにどうするの?」聞いてみました。
「いるの。」
答えになっているような、なっていないような。
家に帰ると、玄関に並べ始めました。
大きい石。
丸い石。
白っぽい石。
大人の目には、だいたい石です。
「これは?」「恐竜の卵。」
なるほど。
「これは?」「宝石。」
なるほど。
「これは?」少し間がありました。「石。」
そこは石なんですね。
そういえば子どもの頃、引き出しの中にいろいろ入っていました。
どこかで拾った貝殻。きれいだと思ったビー玉。何に使うのかわからない鍵。お菓子の缶。
大人にとっては、捨てても困らないものばかりです。でも、なぜか捨てられなかった。
いつからでしょう。
石を見ても、石としか思わなくなったのは。
数日後。
玄関を掃除していると、あの石たちがまだ並んでいました。
少し邪魔です。かなり邪魔です。
一つくらい片づけようかと思いました。
でも、恐竜の卵だったことを思い出しました。
それは勝手に捨てにくい。結局、そのままにしました。
玄関には今日も、恐竜の卵と宝石と、ただの石があります。
ただの石が、一番気になります。
あなたが子どもの頃、大切にしていた「大人にはよくわからないもの」は何でしたか。











