横須賀美術館(鴨居4の1)で9月12日㈯から、「上田薫展」が開かれる。同館では、新型コロナ感染拡大防止による閉館を挟んで約半年ぶりの企画展となる。
殻からするりと落ちる生卵、スプーンですくったジャム、瑞々しい野菜のサラダ…。その透明感や光の反射「これは写真―?」と一瞬立ち止まってしまうリアリティ。油彩や水彩で緻密に描かれた上田作品の特徴は、そのモチーフと鮮やかな色彩、筆致だ。さまざまな写実表現が注目を集めた2000年代以降の美術界で、不動の存在感を示している。
代表作の「なま玉子」には、AからQまで構図や大きさが微妙に違う作品が幾つか存在する。同企画展では、「なま玉子」や「玉子にスプーン」のシリーズ作品を複数展示し、その違いや共通点を見比べることができる。このほか、東京藝術大学の卒業制作や195 0 ~60年代のグラフィック作品、初公開を含む水彩画・リトグラフ、幅5m超の「あわK」等の代表作からその歩みを紹介する。