- 「引きこもりがちで人との関係がうまくつくれない」「ギャンブルやお酒にはまって抜け出せない」「働きたいが自信がない」など悩みを抱えている方。
- お子さんやパートナーが依存症、引きこもりがちなどで悩んでいる方。
支援を求めたくても、現状を変えたいと考えていても、どうしていいのか分からずに焦ってしまっていませんか。
今回は、相鉄線天王町駅・洪福寺松原商店街内にある指定障害福祉サービス事業所「NPO法人ステラポラリス」に潜入して詳しいお話を伺ってきました。「自立支援施設の存在は知っているけれど、どんな場所か分からなくて不安」という方のご参考になれば幸いです。
ステラポラリスってどんなところ?
ステラポラリスは、うつ病や統合失調症から社会復帰を目指す人、アルコールやギャンブル等の依存症、引きこもりなどで悩んでいる人たちの自立支援を行っている事業所です。次の働き先を見つけること、安心して日常生活をおくれるようになることを目的とした支援を行っています。
- 法人名には「いつも北の夜空に輝く北極星(=ステラポラリス)のように、知的・精神障害者やそのご家族が迷った時の『道しるべ』として地域で瞬き続けたい」との願いが込められています。
早速中に入ってみましょう!
「こんにちはー!」
階段をのぼってドアを開けると、スタッフさんと利用者のみなさんが爽やかにご挨拶してくださいます。明るい雰囲気で気持ちがいいですね。
お邪魔した日は2月の前半だったので、壁にお正月の書初めが飾ってありました。みなさんワイワイと筆をとるのが、ステラポラリスの恒例行事なのだそう。
基本的な1日
社会生活力プログラム
午前中の社会生活力Pは、生活訓練の中で最も重要なプログラムのひとつ。 洗濯の仕方、住居の選び方、生活リズムの見直し等、社会生活において必要とされる力を養っていくプログラムです。
生き方研究室
午後の生き方研究室は、日々の生活の苦労をポジティブに「研究」するプログラム。今まで自分ひとりで抱えてきたことを仲間と分かち合うことで、経験を共有し、力や希望に変えて共通する問題の解決を図ります。
- グループワークの時間を多く設けているのが、ステラポラリスの特徴です。
音楽療法も実施
ステラポラリスでは音楽療法も積極的に行っているのだとか。 普段はフォークソングやJーPOPなどを練習しているそうです。フリータイムの時間には、ギターを手に取る利用者さんも多く見られます。
年に1度開催されている音楽イベント「ステラ祭り」のようすです。
素敵な演奏をするステラポラリスの皆さんですが、中にはギターをはじめて2か月の方もいらっしゃったそうです。すごい…!
スタッフは「当事者」で、国家資格をもつプロ!
ステラポラリスには、精神障害当事者で、社会福祉士・精神保健福祉士などの国家資格を持つプロが多数在籍。ピアサポート(仲間同士の助け合い)の理念を大切にしながら、専門的な支援も合わせて提供しています。
理事長の壁田さんもその一人です。
壁田さんはサラリーマン時代、ギャンブル依存症に苦しみました。
「営業職で数字に縛られた生活から抜け出したかったんでしょうね。気づけばギャンブルから抜け出せなくなっていて、家族に迷惑をかけました。なんとか社会復帰しようと、妻が福祉の仕事をしていたことをきっかけに自分も介護職に転向。それでもすぐに腰を痛めて仕事が続けられなくなってしまいました。
その後は路上生活者緊急一時保護センターで相談員を3年間勤めました。同時に通信制の大学に通って国家資格の勉強をしていたんです。
「うつ病」で入院
そんなとき鬱病を発症。なにもできない日々が続きました。畳の上で1か月ずっと動かずに寝ていたもんだから、畳に人型がつくくらい(笑)病状が良くなったり悪くなったりを何度も繰り替えすうちに『会社勤めは無理だから自分で働ける場所を作ろう』と思うようになった。ステラポラリス設立のきっかけです」
初めは『自分のように心の病で苦しんでいる人たちを助けたい』といった想いで法人を立ち上げたという壁田さん。それでも設立から8年が経った今では、考え方が変わってきたと言います。
「最近では『助けたい』なんて上から目線なことは思わなくなりましたね。
今は『一緒に苦しみましょう』って感じ。私だって未だに症状に苦しんでいる。でも、しんどくなったときは周りのスタッフが『リフレッシュしに旅行でも行っておいで』と見守ってくれるんです。私は周りの理解があるから今の仕事を続けてこれている。理事長なのに支えられてばっかり(笑)
それに『助けてあげる』なんて上から目線の人間は直感で分かるんですよ。『なんか嫌な感じだな』って。だからね、私はステラポラリスに来てくれているみなさんとは『利用者とスタッフ』の関係ではなく一人の人として付き合えるような支援をしていきたいと考えているんです。心の病気は、誰でもなる可能性があるものなんですから」
- ステラポラリスでは日本全国、専門職員が訪問して相談をうける「無料出張相談」も実施中。出張費は交通費の実費のみ。当事者のご家族からの相談にも親身に対応します。
利用料金は無料もしくは低額
ステラポラリスの利用対象は、主に精神障害者(手帳の有無は不問)と軽度の知的障害の方。利用費は、前年度の収入がゼロまたは少ない人は無料。そうでない場合も低額です(障害者総合支援法に基づく訓練等給付・介護給付対象サービス利用料がかかります)。
病院、行政など関係機関とも連携を密に取っているので安心して利用できます。
まずはご連絡を
「悩んでいる方はまず連絡をして欲しい」と壁田さん。「お話を聞く予定を立てた後も、やっぱり相談したくないと思ったらキャンセルして大丈夫。まずは一歩踏み出して、アクションを起こすことが大切なんです」