怪我無く学び、礼節身に付けよう
瀬谷駅南口近くにある柔道場「善道館」。最近では珍しい、いわゆる「町道場」です。
伊藤吉治館長は柔道8段という実力の持ち主。神奈川県警を退職後の2001年、長い間夢見ていた道場を立ち上げました。
子どもの指導において特に大切にしているというのが、怪我無く安全に学ぶこと、そして、礼儀作法を身に付けること――。今回は稽古の様子を取材し、伊藤館長に想いの丈をお聞きしました。
準備体操は「身体」だけでなく「心」も
拝礼してスイッチON
取材したのは、寒さ厳しい2月13日。稽古が始まる18時前、5歳から中学生の道場生が続々と集まってきました。子どもたちは入るなり正座して、神棚に向かい拝礼。その姿は凛としていて、とても印象的です。
「礼の精神」みんなで
冒頭には、「礼に始まり、礼に終わる」と説いた「礼の精神」を全員で読み上げる時間も。
- 拝礼や読み上げを通じて、子どもたちは心を整えていきます。
「安全」の秘密は〝首〟にあり
中学の授業で、受け身できず怪我するケースも
じっくり時間をかけて行うのが「受け身」の練習。一見すると地味なメニューですが…。
柔道は中学校の授業に取り入れられており、正しく受け身を取れずに怪我につながるケースもあるそう。伊藤館長は、受け身の重要性を強調します。
- 特にポイントというのが、意外なことに「首」なんです。
首周りの筋肉が鍛えられていないと、投げられた時の勢いで、頭を畳に打ち付けてしまい、大怪我につながることもあるとか。首を強くすることが、自分の身を守ることにつながっているんですね。
「自他共栄」の精神で
稽古時間が40分ほど経ってから、立ち技や寝技へ。当然、練習相手が必要になりますが、伊藤館長は子どもたちに「自他共栄」の心を持つよう指導しています。
「ともに練習する仲間がいるからこそ、技を磨くことができる」―ー。
- 相手を敬い、尊重することを、子どもたちに伝えています。
スイッチをオフに
伊藤館長の小話も
稽古が一通り終わったら、伊藤館長から数分のお話。
この日は、江戸時代に剣技を磨いた兄弟3人のエピソード。剣技を使い発生した問題を解決するのも一手ですが…、その技を用いず、問題を未然に防ぐことこそ最上だと伝えます。
- 技術に溺れることなかれ。取材している私もついつい引き込まれてしまいました。
〝熱〟を冷ましてから終了
こうした話の時間を通じて、子ども達は稽古で高まった熱を少しずつ冷やしていきます。
- 「ONにしたスイッチを、最後はOFFにする。そのメリハリが大事」と伊藤館長は話します。
人間形成に重点
競技の側面より教育を重視
今年で開設20周年を迎える善道館。卒業生は160人以上で、強豪の大学や高校で活躍する人も。
伊藤館長が目指すのは、講道館の創始者・嘉納治五郎氏が掲げた、柔道を通じた人間形成。「勝敗を争う競技としての側面がクローズアップされますが、その過程こそ重要なんです」と、教育に力を入れています。
瀬谷駅南口から徒歩5分
善道館は瀬谷駅南口を出て、瀬谷銀座通りから厚木街道に向かう道の途中にあります。稽古日は毎週火・木・土曜日の18時~20時30分。3歳の子どもから、大人まで通うことが出来るそうです。
感染対策しながら稽古
感染拡大防止のため、道場生はマスクを着用し、手指消毒や検温したうえで稽古に臨んでいます。2月下旬には道場全体の消毒作業も行ったそうで、感染対策に余念がないようです。
- 伊藤館長の掲げる柔道の在り方に関心がある方は、ぜひ一度見学に行ってみてください
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