天津(あまつ)神社(秦野市堀西766)で地元の世話人らが「神社を訪れた記念に」とご朱印の頒布を始めています。天津神社は堀西の波多川地区の氏神。西側に位置する四十八瀬川に向かう斜面には参道である階段と鳥居があり、春分と秋分の日の2回、鳥居の中心を通って夕日が沈んでいく神秘的な光景が見られます。
天津神社近くに住む岩田宇一(ういち)さん(秦野市堀西在住)によると、ご朱印はおよそ2年前、観光ボランティアガイドなどによる寺社巡りや、地元住民が集まる年末年始などに記念として持って帰ってもらおうと作成したのが始まり。ご朱印のデザインは岩田さんがしており、「天津神社 参拝記念」「令和三年 辛丑」と書かれた文字と、中央には同神社の外観と昔境内にあったご神木を使っているという扁額が描かれた図柄が配置されています。
「これは境内にあった拓印を写しとったものです」と岩田さん。境内には地元住民に尋ねてみても由来のわからなかったコンクリートの台座があり、岩田さんがよく見たところ、そこに設置された金属メダルのようなものに絵が描かれていたそうです。調べてみたところ、1989年に出版された『秦野ふれあいの道がいど 西地区編』(はだのまちづくりフォーラム 企画・編集)の表紙に似たような絵があることが分かりました。同書によれば、まちの文化を訪ね歩いて欲しいと「ふれあいの道」づくりを行った同団体が、「多くの人に楽しんで歩いてもらえるように」とコースの各所に集印台を設置。西地区では18カ所設置され、金属版の上に紙を乗せて鉛筆などでなぞるとその図案を写しとれる『秦野ふれあいの道 集印帳』も発行していたそうです。
「この拓印は精巧に作られており、今も西地区に十数カ所残っていますが、ほとんど活用されずに現在に至っています」と話しています。
「このご朱印を通して、先人が残したものを再度知ってもらえたら」と岩田さん。ご朱印は風などで飛ばないよう専用の木箱に入っており、参拝者が自由に持ち帰ることができるそうです。