横須賀市が横浜F・マリノスのホームタウンとなったのは2005年。選手によるサッカー教室やイベントへの参加など、地域での交流や市を挙げた応援も活発だ。18年にはJR久里浜駅の西側地域(旧くりはまみんなの公園)に練習拠点の誘致が決まり、22年秋の一部供用開始に向けて工事が進んでいる。久里浜商店街では、横須賀の「マリノスタウン」として街を挙げた歓迎ムードが高まりつつある。
京急久里浜駅・JR久里浜駅前のアーケードにたなびく「マリノスフラッグ」。練習拠点の開設が決定した数年前から、商店街では少しずつマリノスイメージカラーのトリコロールに彩られてきた。久里浜エリアの行政施設では、ホームゲーム開催日(前日)に、職員がマリノスのユニホームを着用。久里浜郵便局も同様の活動で応援ムードを高めている。
黒船仲通り商店街では、月に数回開催している戸板市や試合開催日に、店舗スタッフがユニホームを着て接客する姿も定着しつつある。
- 「久里浜=マリノスのイメージを浸透させて、チームの応援ムードを高めたい。スポーツの持つ前向きな明るさを商店街の活気につなげられれば」と商店街の会員は話す。
「和菓子 幸和」
「マリノスカラー」をモチーフにした商品開発も進む。「和菓子 幸和」では、サッカーボールに見立てた上用饅頭を販売。白いボールの模様はもちろん赤と青。店主の山口幸昌さんは「久里浜ならではの商品。これから選手やファンが買いに来てくれるといいな」と期待を膨らませる。
- 商店街としては今後、加盟店舗にホームタウンを盛り上げる横浜F・マリノス公認の「応援ショップ」への参加を促していくほか、「マリノス」「サッカー」「トリコロールカラー」などをテーマとした新たな商品やサービスを生み出すことへの後押しをする考えだという。
地元ファン醸成
練習拠点の開設は、久里浜1丁目地区における公園再整備の一環。敷地面積は3万6511㎡で、天然芝のサッカーグラウンド2面とフットサルコート2面(人工芝)、トレーニング施設、食堂、会議室なども設置される。来年10月に一部供用開始、23年5月の完成を目指している。
プロサッカーチームの練習場では、選手の様子や臨場感あふれるプレーを間近に見ることができる。多くのファンやサポーターが集まる場所であり、久里浜が今まさにサッカータウンになろうとしている。横須賀市も市外からの転入者をマリノス試合観戦へ招待するといった「地元マリノスファン」を増やす工夫も凝らしている。「開国の街久里浜」を拠点に、市が掲げるスポーツを通じた地域活性化が大きく前進しそうだ。
トリコロールで疫病退散~「アマビエのぼり旗」たなびく~
久里浜商店街を歩くと、等間隔に現れる「マリノスカラー」(青白赤)ののぼり旗。「コロナに負けるな がんばろう!」というメッセージと合わせて、疫病を払うとされる妖怪「アマビエ」のイラストが描かれている=写真。
アーケード内を中心に今年2月から、計100本が掲出されている。デザインを手掛けたのは、大矢部在住の漫画家・たちばないさぎさん。久里浜仲通り商店街振興組合の橋本篤一郎理事長が運営する「自家焙煎珈琲豆サニム」でのアルバイト経験もあり、2人の間で製作が進められた。
たちばなさんのアマビエイラストは、神奈川県の「感染防止サポートブック」 にも採用されている。のぼり旗の配色はすでに商店街になびく「マリノスフラッグ」と調和させ、久里浜らしさを演出。オリジナルデザインで「コロナに負けない街」を発信している。