「孤食や個食をしない・させない」――。そんな思いを持った地域の有志たちが、手作りの食事や居場所を提供する「子ども食堂」。
横浜市鶴見区の生麦地域ケアプラザでも毎月2回、「なまむぎこども食堂」が開かれています。名前は子ども食堂ですが、「子ども」だけの食堂ではなく、地域交流拠点としての役割を担う「みんなの居場所」になっているそう。そんな温かい食堂へ実際に行ってきました!
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◆なまむぎこども食堂ってどんなところ?
◆毎回変わる工夫凝らしたメニュー
◆会話が生まれる場所
◆「たのしい会話がなによりのごちそう」
なまむぎこども食堂ってどんなところ?
「なまむぎこども食堂」は、生麦地域ケアプラザで毎月第一、第三金曜日(原則)に開かれています。大人は400円、子ども(18歳以下)は200円で美味しいご飯が食べられます。
地域ボランティアと、遠くは九州在住の方までが参加し、「地域のために力になりたい」と集まった人たちで運営しています。初めは10人ほどでの立ち上げでしたが、今では日常的に活動に参加しているボランティアは16人となりました。
毎回変わる工夫凝らしたメニュー
会場は、地域ケアプラザの2階。受付では、スタッフの方が笑顔で迎えてくれます。事前に申し込んだ人数を伝えると、料理を用意してもらえます。
以前はみんなで食卓を囲む会食方式でしたが、現在はコロナ禍のため、テイクアウトとなっています。ビュッフェのように食材や料理を受け取っていきます。
取材に伺った3月4日のメニューは、ひな祭りに合わせた「ちらし寿司」。その他にも、地域の方から寄付されたなめこを使った味噌汁やマカロニサラダ、オレンジ、ヨーグルトなど、栄養バランスについて考えられたメニューが並びました。
献立は、毎回スタッフが頭をひねって考えます。その時期に受け取った寄付食材などもうまく活用していきます。スタッフは、当日の15時から集まって準備をしており、料理にはいつも愛情がたっぷり込められています。
この日は、食べ物以外にもハンドソープや、クリアファイルのお土産がありました。お土産は毎回変わるそうで、食堂へ行ってのお楽しみです。
会話が生まれる場所
「今日は歩きで来たの?」「近くだから歩いてきた!」
「今日は新鮮な果物もあります」「美味しそうだね、ありがとう」
食堂では、テイクアウト中心の運営になっても、会話が絶えません。参加者は、子どもから大人まで様々です。この日は30人ほどが食堂を利用しました。
スタッフの清水さんは、「やっぱり『ありがとう』という言葉をもらった時は嬉しいです。励みになります。働いているので、できる範囲になってしまうけれど、少しでも地域に還元できればと思っています」と話してくれました。
食堂が終わった後には、その日の反省や、今後の活動についての会議が開かれます。
この日も、スタッフみんなで「どうしたら子どもたちや、地域の人たちのためになるか」を真剣に考えました。「学校と協力できないか」、「もっとたくさんの人に活動を知ってもらうにはどうしたらいいか」などの意見が飛び交いました。
「たのしい会話がなによりのごちそう」
「なまむぎこども食堂」は、2018年、子育て支援施設のスタッフの一人・柳瀬正勝さんが中心となって立ち上げました。柳瀬さんは「利用者とボランティアが互いにリスペクトの気持ちを持って活動していけるといいと思っています」と話してくれました。
柳瀬さんが食堂を開くときに大切にしているモットーは「楽しい会話が何よりのごちそう」。柳瀬さんのボランティアについての思いは、「プレゼントをもらう喜びと、プレゼントをあげる喜びは、同じだと思っています。そして、先憂後楽の気持ちを常に持ちつつ活動していきたいと思っています」。
以前は「食べられない子どもが通う」という印象の強かった子ども食堂ですが、今は地域コミュニティの場として、子どもはもちろん、親や高齢者まで、誰でも参加することができます。
- 「一人でご飯を食べている、誰かと話したい、そんな時は食堂へ来て、一緒に手作りの食事を楽しみましょう」。