緑豊かな丘陵地に位置する西菅田団地で4月12日から、移動支援車が導入された。西菅田団地自治会(野原清喜会長)が、菅田町で特別養護老人ホームけやき荘を運営する社会福祉法人孝楽会(松田雍晴理事長)から車両の貸し出しを受け実現。同自治会役員など団地の住民がボランティアで運転手や添乗員などを担い、毎週火曜日の午前中に運行する。
高齢化率44%
西菅田団地がある菅田町の高齢化率は30・3%(2021年3月31日時点)で神奈川区の平均22%を大きく上回る地域。さらに、2019年に同区が実施した「神奈川区内大規模団地に関する調査」によると、1971年の入居開始から50年以上経つ西菅田団地の高齢化率は44%だった。
同団地は全部で7街区に分かれており、中央に位置する4街区にスーパーマーケットや郵便局、ドラッグストアなどが集積している。しかし、平坦な道が少なく坂道が多いことから同自治会によると、高齢の住民らが、買い物や用事に出かけることに難儀しているという。
そこで、移動支援を検討するため、社会福祉法人孝楽会や神奈川区役所、菅田地域ケアプラザなどが支援に入り、同自治会の役員や住民らが「西菅田団地けやきの会」を発足。移動支援車両については、孝楽会の協力があり、デイサービスの送迎時間外で貸し出しが可能となった。
そして、実際に団地の周りを歩き、移動ルートを検討したり、団地住民のニーズを把握するため、アンケート調査を実施するなど、だんだんと準備を進めていった。
運転研修も
移動支援車の運転などは、同自治会を中心とした住民ボランティア。同法人の指導で福祉車両の利用の仕方や乗降時の介助方法、運転手の安全運転研修などを実施。また、3月には3回のテスト乗車も行った。
「西菅田団地けやきの会」は4月12日、特別養護老人ホーム「けやき荘」で出発式を開催。野原会長をはじめ、自治会の役員や県会・市会議員、同区役所、地域ケアプラザの職員などが出席し、移動支援車の出発を祝った。野原会長は「多くの方に支援いただきながら、移動支援車の出発式を迎えることができた。移動に難儀している住民の力になれれば」とあいさつ。
移動支援車は毎週火曜日の午前10時からけやき荘を出発し、西菅田団地の各街区とスーパーなどがある「集会所裏」を行き来しながら、11時45分にけやき荘に到着する。定員は5人で無料。車両には「移動支援車運行中」のステッカーを付けて運行する。