徳川家に由縁あり~川崎市宮前区<白幡八幡大神>家内安全の願いを込めた禰宜(ねぎ)舞などを今に伝える

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徳川家に由縁あり~川崎市宮前区<白幡八幡大神>家内安全の願いを込めた禰宜(ねぎ)舞などを今に伝える
宮司1人で5神を演じる禰宜舞=以前のもの

NHK大河ドラマ「どうする家康」

 2023年のNHK大河ドラマは「どうする家康」。松本潤さん演じる徳川家康の生涯を描く。その徳川家に由縁があるのが、平の稲毛領総鎮守白幡八幡大神(小泉直宮司)だ。

一子相伝の禰宜舞

 同社によると、一子相伝の禰宜舞は1600年、関ヶ原に出陣する戦勝祈願のため、徳川家が当時の宮司に神楽興行をさせたのが始まりといわれる。江戸初期に、正月3日には江戸城に上り、将軍の前で舞っていたとも伝わる。

 川崎市文化財・市重要習俗技芸指定の禰宜舞は、道案内を先導する神「猿田彦命(さるたひこのみこと)」、神楽や技芸などの祖神「天鈿女命(あめのうずめのみこと)」、祭を司る「天児屋根命(あめのこやねのみこと)」、山の猟を司る神「彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)」、山の精霊大山を司る神「大山祇命(おおやまずみのみこと)」-の、5つの神々を宮司が面と衣装を替えながら一人で舞う。

社殿内に残る資料には「元禄」の文字も見られる

家康から大きな保護

 同社の前身については、平安時代の1058年に遡る。源頼義が奥羽の征討将軍として遠征の際に、鎌倉八幡宮に「使命を果たした際は、鎌倉から奥州へ行く街道十里(40キロ)毎に八幡祠一社ずつを造る」と誓いをたてた。その際の一社目にあたるのが同社で、1061年に建立された。

 その後国内の乱れにより神社も荒れてしまったが、源頼朝が鎌倉幕府を開くと祖先を調べ1192年に同社を再建。鎌倉八幡宮から御霊分けし、源栄山八幡宮と称されるように。稲毛三郎重成が領主となり、同社が稲毛領57カ村の総鎮守となった。1591年には、関八州の太守・徳川家康に朱印地(年貢諸役が免除された寺社領)70石を寄進され、大きな保護を受けたともされている。

 同社担当者は、小泉家は奥州藤原家の末裔にあたることから、「禰宜舞は一昔前、『出羽様の神楽』と言われていた」とも。明治時代には世襲制が禁止されたが、先の理由から特例として承認されたという。

現在も

 禰宜舞は現在も家内安全や五穀豊穣などの願いを込めて、7月と9月の第3日曜日の神事日に同社で執り行われているほか、区内外の神社の夏祭りや例大祭でも行われている。

住所

神奈川県川崎市宮前区平4-6-1 白幡八幡大神

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公開日:2023-01-26

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