戦争の記憶を戦争遺跡を通して継承する全国規模の大会「戦争遺跡保存全国シンポジウム」が、9月に追浜地区を会場にして開催されることになった。戦争遺跡保存全国ネットワークと開催地で結成される地元実行委員会が連携して実施。追浜の地域活性に取り組む「NPO法人アクションおっぱま」の昌子住江理事長が同委員長に就き、企画の具体化を進める。
同シンポは今回で26回目を数える。25回の記念大会は昨年8月に被爆の地で原爆ドームのある広島県広島市で開かれた。2023年は第三海堡遺構や貝山地下壕の保存・公開を行政と地域が協働して取り組んでいることから戦跡ネットの打診を受けた。昌子委員長は「追浜の戦跡を市内外の人に認知してもらう機会。次世代継承のきっかけの場としていきたい」と地元開催の意義をこう話す。同シンポでは、横須賀の戦跡の調査活動や保存活用を紹介。現地見学会や記念講演も計画しているという。
神奈川県内では、過去に日吉台地下壕(横浜市)、登戸研究所資料館(川崎市)での開催実績がある。
《東京湾要塞研究家 デビット佐藤さんの話》
戦争遺跡は主に明治時代から太平洋戦争末期までに造られた軍事施設や被害を受けた建物を指す。軍都として発展を遂げた横須賀・三浦半島には旧陸海軍創設時からの遺構が数多く残されており、ひとことで言えば”戦争遺跡の宝庫”。被害と加害の両方の視点で語ることができ、平和学習や平和教育に最適な場所である。他の歴史資源とも絡めることで集客コンテンツにもなり得る。今回のシンポを通じて多くの人が戦跡に関心を持つ契機になることを期待したい。