7月に入り、夏山シーズンを迎えた西丹沢。低山が多く、大都市圏からのアクセスが良いため、登山ブームと相まって高い人気を誇っている。一方で山岳遭難や沢での水難事故も毎年発生している。今回、西丹沢を管轄する松田警察署の山岳救助隊のメンバーに登山する際の注意点を聞いた。
コロナ禍初年の2020年、松田署管内での遭難救助件数は51件で、前年と比べて1・5倍に増加した。
昨年、一昨年は30件前後だったが、今年は1月8日から7月2日までですでに22件に上り、例年を上回るペースで発生している。死者はいないが、重傷者が10人発生している。事案は特に週末に集中しており、救助隊はここ数週間は、毎週末に出動しているのが現状だという。
意識や装備不足
近年の遭難者の傾向について、同隊に所属する相田一己さんは「初心者が準備不足で登山し遭難しているケースが目立つ」と分析する。その上で【1】登山ルートなど入念な計画を立てて必ず登山届を提出する【2】出発までの体調管理を行う【3】陽が沈む前に下山する計画を立て早出早着する【4】地図やコンパス、ヘッドライト、補食、ツェルトなどの装備品を携行する―といったことは最低限と説明する。
また、道迷いによる遭難については「低い場所を目指さないこと。特に沢を伝って降りてしまうと多くの場合滝につながっており、崖から滑落する危険が高い」と指摘。迷ったら山を登り尾根や登山道、山頂に出ることで発見率が高まるという。最近は登山用のGPSアプリを使用する登山者も多いが「低山だからと言って甘く見ず、登山届を欠かさないで」とも。
夏の注意点
夏の西丹沢は、高山や内陸部の山に比べて気温が高い。相田さんは、こうした地域の特徴を事前に調べておくことも登山の準備とし、「登山中は汗も多く出るので、脱水症状を起こしやすい。常に水分と塩分が補給できるものを、十分な量携行することが大事」と話している。