大規模災害時、安否確認のために玄関やベランダなどに掲げる「黄色い旗」。防災対策として、全国的に取り入れている自治会・町内会が増えている。麻生区内の集合住宅・サンラフレ百合ヶ丘自治会(川喜田敦子会長)では、黄色い旗の代わりに、玄関に貼るタイプの無事を知らせるカードを配布。集合住宅ならではの工夫を凝らした防災対策に取り組む。
サンラフレ百合ヶ丘は、百合ヶ丘駅からほど近い場所にあるUR都市機構が管理する賃貸の集合住宅。19棟960世帯があり、そのうち155世帯が加入する(今年3月31日時点)。
同自治会が今回、防災対策として導入したのが、安否確認を知らせる「無事ですカード」。マグネット式で、玄関先に貼り付けるタイプのもの。外国籍の居住者が多いため、日本語のほかに、英語、韓国語、中国語でも内容が分かる仕様になっている。
高層階があるため、災害時に「黄色い旗」をベランダに掲げるよりも確認が取りやすいことから、UR都市機構の協力で今回カードを導入することを決めた。区内でURが管理する3件の物件のうち、このカードを導入するのは同自治会が初。麻生区危機管理担当によると、安否確認のカードを使っている自治会・町内会は徐々に増えてきているという。
同自治会では、初夏から、棟ごとに実施している防災訓練で参加者に配布している。カードは自治会に加入していない世帯にも配布を行っており、12月までに団地全戸に配布する予定だ。
同自治会の板倉誠一副会長は「カードの掲示がない場合や裏面になっていれば支援の必要性をすぐに確認することでき、声がけなどが可能になる」とカードの役割を説明する。続けて「自治会としての取り組みではあるものの、加入していない世帯にも配布することで団地の防災につながる。他人事ではなく自分事として取り組んでほしい」と話している。