特別顧問の平本一雄さんが編著
川崎新都心まちづくり財団が監修し、同財団特別顧問の平本一雄さん(79)=金程在住=が編著した書籍『持続する郊外〜住民主導のアーバニズム〜』がこのほど完成した。麻生区の歴史や、郊外社会の実態、今後などについてまとめられた。平本さんは「麻生区の人はもちろん、全国の郊外地域の人たちに読んでほしい」と期待を込める。
街づくりに関する資料収集や広報活動、調査研究の実施と受託、街づくり活動の支援と交流などの事業を行っている同財団。
郊外地域「麻生」研究
麻生地域は、谷戸農村から東京の郊外型都市として発展し、居住者も増加。一方、2030年以降、人口は減少すると予測され、少子高齢化が進む中で高齢者の生活維持、若年人口増加を課題にしていることから、同財団では、2020年に「郊外地域社会研究調査事業」を企画。「住宅地の問題」「ポストコロナのライフスタイル」「緑」「芸術文化」「商業」「子育て」「高齢者」の7つのテーマで調査研究を実施した。麻生区周辺の大学の研究室に協力を依頼し、2年かけて報告書を作成。22年11月に完成した。
7つの研究調査の結果収録
今回の書籍は、その研究成果をわかりやすくまとめ、一冊の本にしたもの。全約380ページで、2部立ての構成。第1部では、「郊外社会の持続型モデルを探る」と題し、麻生と多摩ニュータウン、東急田園都市を比較するほか、麻生の歴史、現在の課題と今後のまちづくりの方向について、平本さんが総論として執筆。第2部では、郊外社会の実態について、7つの研究調査の結果が収録されている。
絵本も完成間近
35年程前に都心から転居してきた平本さん。会社員時代は、国内外の大規模な都市開発を手掛け、大学教授時代に世界各地の都市の研究に時間を費やしてきた。「リタイアしたら自分が住んでいる地域のことをしなくてはと思っていた」と振り返る。都市開発の専門家として今回の調査研究の発案、書籍の編著にあたった。「麻生は他の地域から転居してきた人が大多数。この地域を知ってもらい、将来を考えてほしい」と平本さんは思いを語る。続けて「麻生地域は、緑豊かで芸術文化も盛んな地域に育ってきており、郊外の街づくりのモデルになれる地域。ぜひ全国の人にも知ってもらいたい」と呼び掛ける。
現在、小学生向けの絵本も制作中で3月に完成、4月に発表報告会も行う予定だ。書籍は、全国の大型書店で販売中。