これは、2024年の夏、タムウッドのサマーキャンプに参加する小6のお嬢さんとお母様の奮闘をご紹介するコラムです。2024年の3月スタート。リアルタイムでコラムは進行していきます。「いつかは、、、」と参加を検討中の皆様は、是非参考にしてみてください。(原稿は随時追加)
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帰国日
あっという間に娘の帰国日となった。
帰国当日は時間に余裕をもって、家族で羽田空港へお迎えに向かった。出発日と同じく観光気分で空港内を散策し満喫する傍ら、どんな表情で帰ってくるのかな?英語はどの程度身についたかな?などと想像を膨らませていた私。飛行機の到着予定時刻が近づくと、展望デッキへ向かいエアカナダの機体が来るのを待機していた。
今か今かと首を長くして待ちわびるが、待てど暮らせど機体は姿を現さない。運行状況をネットで確認はしていたが、もしかして見逃してしまった?と心配になってしまう程の長い待ち時間だった。
待ちくたびれて疲弊していたころ、ようやく彼方からエアカナダの機体が着陸体制になって来るのを発見した。着陸の瞬間をしっかりと自分の目で見届けた後は、到着ロビーへ向かい到着出口で娘の出待ちをした。すぐに会えると楽しみにしていたが、恐ろしく長い待ち時間だった。ワクワクと楽しみにしていた気持ちは、だんだん疲労困憊へと変わってきた。
出口が1箇所かどうかを予めインフォメーションで確認しておいたのはせめてもの救いだった。そうでなければ、もしかして娘は別の出口から出てしまったのでは?と確実に心配していたことだろう。長い待ち時間の中で夫と
「娘を思いっきりほめてあげよう。」
「今日だけは少しのことで怒るのはやめよう。」
と約束を交わした。この会話が終わるや否や
夫「出て来るの遅いよ何やってたの、と言ってしまいそう。」
私「今、怒らないって話をしたところなのに・・。」 「そもそも、それは娘のせいじゃないから。」
などと冗談を言い合っていた。
これだけ途方もない時間待ち尽くしていたというのに、あろうことか娘が出口から出てきたのを見逃してしまう始末の私たち。待機している場所とは反対側に娘たちは出ていたようだ。それに気が付くや否や、娘の居る場所へと突進する。2週間ぶりの娘の表情はそっけないように見えた。もっと嬉しそうな表情できないの?と喉元まで出かかったけれど、その時はなんとか飲み込んだ。
「おかえりなさい!」
と元気よく声を掛けて近寄って行くが、娘との間に温度差を感じずにはいられなかった。あれだけ夫と約束をしたのに、娘の態度が気になって思わず強い口調で言葉を発してしまった。
「何かあったの?」
特に何かあったわけではないが、娘は疲れていたようだ。更に、追い打ちをかけるように聞いてしまったダメダメの私。
「ところで英語はどう?だいぶ身に着いた?」
娘の表情がもっと気まずそうになったので、ハッと気が付き暴走する自分にストップをかけた。聞きたいことは山ほどあった。ついつい我慢できずにこんな言葉を発してしまった自分に反省。まずは頑張った娘をほめて労わらないと。気持ちを持ち直し、帰路では、娘がトロントで過ごした2週間について、お友達、訪れた場所、食事や寮の部屋等、様々な思い出話を聞きながら帰宅した。
娘にとって2週間ぶりの我が家。夕食には娘の大好物の素麺と蕎麦を出すと大喜びで完食した。まだまだ話を聞きたいところだが、疲れもたまっているようなのでその日は早めの就寝をさせた。
帰国後
無事に帰宅した翌日、午前中はゆっくりと過ごした娘。午後からはキャンプでの出来事をトビーズの社長に報告するため、私と一緒にオフィスへと出向いた。
振り返ってみると、娘がトロントへのキャンプ参加を決心したのが約半年前。
現地で充実した時間が過ごせるようにと、事前準備や英語レッスンなど母娘共に無我夢中に突き進んできた。子供が海外で2週間過ごすとなると準備も一筋縄ではいかない。出発までの間にやるべきことは山ほどあった。自分のそそっかしい性格も相まって、手続きがスムーズに進まないことやトラブルも多々あった。
そんな波乱万丈続きの準備期間を経たものの、出発当日からカナダへ入国するまでの間は順調に物事が進んで行ったようだ。それに伴い娘の気持ちも前向きに進み出した。無事にカナダに到着、そしてポジティブな心意気に対してホッと一息を付いた私。
ところがそれもつかの間、文化の違いに衝撃を受けすっかり意気消沈してしまったとの連絡。お友達を作ることに対しても、周りより一歩遅れてしまった焦りがあり精神的に打ちのめされてしまったようだ。泣き面に蜂状態で、涙に暮れた苦い思いからのスタートとなった。そんな娘を遠い日本から励まし続けた私。
遠足を機に、思い切ってお友達に声を掛けたことから世界が180度変わったようだ。今思うと、そんな絶望的な気持ちを切り替えて良く一歩を踏み出せたな、と思う。
カナダで過ごした2週間は振り返ってみるとあっという間だったそうだ。このあっという間の2週間で、何年分にも相当する中身の詰まった経験をできた。
特に感じた大事なこととして以下の6つがあるそうだ。
- 自分から勇気を出して行く
- 感謝の気持ちを持つ
- 間違っていても良いからチャレンジする
- 自己管理の大切さ
- 文化の違いに順応する(その国の文化を理解し、受け入れる柔軟性と寛容性を持つ)
- 自分の国の良さを知る(きめ細やかな気配り、丁寧な楷書文字など)
特に自分から声を掛ける、と言うことに関しては夏休み明け学校のクラスで大いに役立ったそうだ。そのお陰で、夏休み前にはあまり話をしたこともないお友達と距離を縮められて仲良くなれたそうだ。
小学校6年間を過ごした中で、今のクラスが一番楽しい!と自信を持って言う娘。私にとっても、こんなに嬉しいことはない。良いお友達に恵まれたことは言うまでもないが、娘自身の変化の方が大きく関係しているのではないかと思う。
たった一人でカナダに行ったこと。だれも知り合いの居ない中で勇気を出してお友達を作ったこと。自分の身の回りのことを自分でやったこと。英語を使って買い物をしたり他国のお友達と会話をしたこと。全ての経験が娘にとって一生の宝物となり自信となって今後の人生にきっと役に立つだろうと、私は確信している。
親としても沢山のことを勉強させてもらった。とりわけ、子供を信じて励ますことについては自分の教訓と言っても過言ではない。今後は人としての成長とさらなる英語力アップを目指し、母娘共に向上心を持って進んでいけたらなと思う。