小田原市は、漁業の担い手確保を目的とした漁業塾を初めて開催する。「刺網漁」を対象に、35歳程度までの成人数人を募集。後継者不足に悩む関係者の下での新規就業や将来的な独立を後押しする。
市水産海浜課によると、市内の漁獲量に占める刺網漁の割合は2割程度で定置網漁と比べて低いが、イセエビやヒラメ、アンコウなどの高級な魚介類が取れる。しかし近年は高齢化が進む中で後継者不足という課題にも直面。19人いる刺網漁師のうち、後継者のめどが立っているのは1人のみという。
市ではこれまで学生向けの短期研修を通して漁業への就業をPRしてきたが、より実践的な就業支援策として漁業塾を考案。市漁業協同組合刺網部会との共催で、部会員や大学教授などが講師となり8月から12月にかけて実施する。同課によると、行政と漁協による同様の取り組みは県内では珍しいという。
全8回のカリキュラムでは、就業準備や市の水産業、漁業権などに関する座学をはじめ、漁場での実習や魚のさばき方などをレクチャーする。修了後は後継者を望む関係者と就業を希望する参加者同士のマッチングを行い、試用期間を経て来年5月の就業を目指す。
同課の見坊俊明さんは「漁師の仕事に少しでも関心があれば大歓迎。気軽な気持ちで応募してほしい」と呼び掛ける。刺網部会の江森正典部会長も「漁師の高齢化が進む中、若い力やアイデアを生かして漁業の世界で活躍してほしい」と期待を寄せている。
参加は無料で、7月22日(火)から8月8日(金)までに市のホームページから申し込む。
問い合わせは市水産海浜課【電話】0465・22・9227。