旧小机領三十三所観音霊場の星宿山王禅寺
川崎市にある星宿山「王禅寺」(王禅寺940)で4月1日から5月6日まで「聖観音菩薩像」が開帳される。同寺は現在の横浜市と町田市、川崎市麻生区にまたがる「旧小机領三十三所観音霊場」の第二十二番札所。この三十三霊場では12年に一度子年にだけ尊像が一斉開帳され、巡拝することができる。
江戸時代に開創
観音が三十三の姿に変えて人々を苦悩から救うと言われることから、三十三霊場を定めて巡拝することが平安時代から行われてきた。江戸時代、泉谷寺(横浜市港北区)の転誉理察上人と、法昌寺(同青葉区)の宗運和尚と朝庵和尚の3人が小机領内の寺を巡って霊場を選定。1732年の子年(享保17年)に三十三所観音霊場が開創。24年後の1756(宝暦6)年には各霊場で一斉に尊像の開帳が行われ、以降は子年ごとに開帳されている。
開帳に合わせ朱印帳(納経帳)や軸が用意
明治の頃は3月に行われていたが、現在は4月から5月に開帳されるように。開帳に合わせ、朱印帳(納経帳)や軸が用意される。各霊場には番号が振られているが、順番に巡る必要はない。王禅寺の森光彦副住職は「近いところからまわって大丈夫です。神聖な気持ちでお参りした上で御朱印をいただいてください」と話している。
412年前の菩薩像
旧小机領三十三所の中で王禅寺は唯一川崎市にある霊場。同寺は真言宗豊山派で、921(延喜21)年に開山。庭には禅寺丸柿の原木が保存されている。
同寺の「聖観音菩薩像」は、作者は不明だが1608年にできたものだと前回(2008年)開帳時に判明。同寺では毎月17日を「観音様の日」とし観音堂を開扉するが、堂内で本尊を拝めるのは子年の開帳期間だけだ。
森副住職は「閉塞感が漂うときですが、観音様のご利益をいただくため散歩がてらの参拝も歓迎です。感染症対策はしていただいて、楽しんでください」と話している。
王禅寺へは、バス停「王禅寺東三丁目」から徒歩3分。車複数台で来る場合は事前に連絡を。問合せは同寺【電話】044・966・5135。
関連記事はコチラ