緊急事態宣言解除に伴い6月9日から再開している町田市立国際版画美術館。延期していた「インプリントまちだ展2020すむひと⇔くるひと〜『アーティスト』がみた町田〜」も会期を延長して開催中だ。
アグン・プラボウォ氏の日本初公開となる作品
同展は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて2017年から開催してきたシリーズ展で、これまで各年ごとに版画を軸に制作する若手作家を招へいし町田を取材した新作を発表してきた。集大成となる今展では町田市がホストタウンを務めるインドネシアのアーティスト、アグン・プラボウォ氏が日本初公開となる代表作や町田の市街地に着想を得た新作を発表している。
ゴム版を彫る「リノカット」彫り進み技法によるアグン氏の独創的な作品は国際的に高く評価されている。19年に町田市内に2週間滞在し、そこで自分の中に生じた感情を描いた作品など180枚もの版画を組み合わせた町田をテーマとする3部作は圧巻。そのほか初期の作品から最新作まで約70点の作品が一堂に展示されている。
また展示室内に設置された、人の動きに合わせて画面が変化する体験型インスタレーションも作品の一つとなっており、来館者が体験し、不思議がったり、楽しんだりする姿が見られるという。
来る人、住む人の作品
なかざわたかひろ氏、荒木珠奈氏、田中彰氏の2017〜19年の招へい作家3人の作品も一堂に紹介。田中氏の作品で、来館者を含む400人以上が制作に加わった横幅約7・5mの超大型絵巻は会期最終日に仕上がったため、完成品の披露は初めてとなる。
また「すむひと」として若林奮、飯田善國、赤瀬川原平など町田に住んだアーティストの作品、町田に縁あるミニコミ誌やフリーペーパーなどの自主出版物なども展示している。
身近な場所で「旅する」体験を
学芸員の町村悠香さんは「なかなか遠くまで出かけることをためらう状況かと思います。アートや楽しみに触れることで少しでも気持ちを癒し、日常とは違う体験をしたり、作品に身をゆだねることで自分の身近な場所を”旅する”ような経験をしていただければ」と見学を促す。
人数制限を設け、ソーシャルディスタンスなど感染対策を施して開催。