番台で入浴料を払い、主人とちょっとした会話を楽しみ、これまた昭和の香りを感じる脱衣所を抜けると、浴室には雄大な富士山が描かれたペンキ絵が。銭湯には欠かせないこのペンキ絵は、国内唯一の女性ペンキ絵師・田中みずきさんが手掛けたというこの作品だそうです。
■横浜で温泉!?
保土ケ谷区仏向町にある銭湯「黄金湯」のお湯はやや褐色がかった「黒湯」。地層中に長い間閉じ込められていた海水(化石海水)が湧出した源泉を使ったれっきとした温泉なんです。
- 55年前の開湯当初は水を沸かしていたそうですが、先代の御主人が20年ほど前、古井戸の水が茶褐色であることに気付き、調査した結果、綱島温泉と同様の泉質を持つ温泉(化石海水)であることが判明したそうです。
「うちの財産ですよ」。柔和な表情を浮かべそう話す現在の御主人・佐藤弘幸さんは、2013年に会社員から一転、妻の実家が営むこの銭湯で「湯屋の主人」として第二の人生をスタート。古き良き昭和の香りが随所に感じられる空間を守り続けています。
■薪で沸かす「黒湯」で体の芯までポッカポカ!
源泉は16.8℃。湯は薪で沸かすこともこだわりのひとつ。釜場に角材など薪をくべ、湯を沸かす作業は重労働だが「常連さんからも『湯あたり』が良いって喜ばれるからね」。
さあ、こだわりの温泉をいただこう。浴室の入口脇に並べられた湯おけとイスを手に、カラン(蛇口)の前へ。湯船に浸かる前に体を洗い、いざ入湯。肩までしっかりと浸かり黒湯を楽しむ。家風呂とは違う感覚が「温泉であること」を感じさせてくれます。10mほどの高い天井に、薪焚きの黒湯、ペンキ絵。さらに琳派を代表する画家・尾形光琳の「風神雷神図」(重要文化財)絵タイルが浴室内で楽しむことができるなど、普段とは違ったゆったりとしたお風呂タイムに大満足。
- さらに驚いたのは風呂上り。体は芯からポッカポカ。温泉効果を存分に感じさせてくれました。
■締めくくりは定番のコーヒー牛乳をグビッ
銭湯といえば欠くことができないのが・・・。
そう「風呂上りのアレ」。番台横にある冷ケースから取り出されたのは「コーヒー牛乳」。もちろん瓶に入ったアレです。これをグビッと飲み干し、この日のお風呂タイムは終湯。
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