ラーメン、ギョーザ、チャーハンなどいわゆるオーソドックスな中華料理を手頃な価格で楽しめる、もはや日本人の国民食と言っても差し支えない町中華。それが今「ネオ町中華」という言葉が生まれ、再び熱い視線が注がれています。
そんな町中華の老舗として横須賀市民のハートと胃袋をつかんで離さない「上海亭」の定番メニューに、ある〝怪物〟が潜んでいるとの情報を入手。その名も「ジャンボチャーシューメン」。その実態に記者が「水曜スペシャル」川口浩探検隊のごとく迫りました。
ジャングルの中心にオアシス
飲食店ジャングルとも呼べるほど多種多様な飲食店がひしめく、横須賀一の繁華街「横須賀中央」。さらにその〝中央〟に構える店は王者の風格さえ感じさせます。ジャングルの王者…常連客ばかりで敷居が高いのでは、と思いきや実際は1人でも気軽に入りやすいオープンな雰囲気。
- お一人様用のカウンター席のほか、ファミリーやちょっとした団体さん向けのテーブル席が4つ。入店すると「いらっしゃいませ」と店主の陳寛明(ちんかんみん)さんが明るい声で招き入れてくれます。
まずはメニューを確認。ありますあります、「ジャンボチャーシューメン 1,000円」の文字が。巷でよくあるデカ盛りメニューの値段を考えるとお財布に優しい価格設定。じつはそんなに〝ジャンボ〟じゃないのでは?と気を緩めて躊躇なく注文。微笑む陳さん、そして周りの客からの目線。これが何を意味するか、5分後に知ることになります。
やはり〝怪物〟は実在した
「タレが無くても美味しい自家製餃子」や「外はパリッ中はモッチリ両面焼き」など、他のメニューを眺めながら想像を膨らましていると厨房から陳さんが何やら両手で抱え、こちらへ向かってくるではありませんか。そして無事着丼。記者はしばらく言葉を失います。見たこともない大きさの器、まるで力士の優勝盃。今場所優勝したっけ?「…これってどのくらいの量があるんですか?」「麺は3玉入ってますよ」。
なんともサービス精神溢れる怪物ではないですか。麺が伸びないよう手早く写真撮影を終え、お腹だけ小結級記者がいざ実食!
黄色味がかった自家製細麺にこれまた自家製チャーシュー5枚、メンマ、ホウレン草といたってシンプルな中華そば系の仕上がり。まずはスープ、角はなくほど良い塩味が鶏ガラしょうゆベースの旨味を引き立てます。
出汁の詳細は「企業秘密」と微笑む陳さん。もしわかっても家では再現できませんが…。自慢の麺はやや縮れがかり、コシもしっかり。細麺ゆえにスープをよく絡め取ります。
- 着丼時は「1人で食べきれるのか」と不安もありましたが恐ろしいことに、麺とスープがとっても軽やかなことからスルスルと喉を通り、15分ほどで完食。周りからの目線もすっかり忘れ、まるで付き合いたての恋人同士のように夢中で丼と向き合っていました。
お腹も心も〝いっぱい〟
創業当初からあるメニューで、部活帰りの学生さんやパチンコ屋の利用客などに「お金が無くてもお腹いっぱいになれるものを」と提供し始めたことが誕生のきっかけだそうです。
当時はさらに1玉追加の4玉まで無料でカスタマイズでき、さらにライスのサービスもあったそう。
- 強豪の横須賀学院女子柔道部の学生さんも多く来店したそうで、その理由もうなずけます。現在は月に30杯ほど注文が入り、ほとんどの方が完食。
取材後記
なんだか胸もお腹も温かくなりますね。ちなみに完食しても賞金やプレゼントはありません。お褒めの言葉は頂けます。
注文条件は1人で食べきること、誰かとシェアは出来ません。無理は禁物、身体と心に余裕があり、財布に余裕がない時にはまた〝会う〟ことになるでしょう。