一人ひとりを尊重したケアと安心の生活を提供する特別養護老人ホーム・大野北誠心園では、コロナで利用者とその家族の面会が困難な中、親身な対応で可能な限り利用者の安心が得られるよう努めている。
フロアリーダーを務める同施設で7年目の楢府爽香さんは、コロナの状況で、利用者にとって家族の力の大きさを実感する。利用者からは家族を心配する声や、「さみしい」といった声が聞かれるが、家族の心境などを代弁してあげることで安心してもらえるといい、利用者と家族との距離が広がらないよう目を配る。面会は叶わないものの、スタッフが手づくりした写真付きの手紙を毎月家族に送っており、返信してくれる家族もいる。手紙を読みながら孫の話題などで笑顔を見せる利用者も多い。手紙の送付は家族からも好評で、今後は家族の様子がさらに伝わるよう返信に写真を添えてもらうことも検討中だ。
コロナが落ち着けば、「散歩に連れていきたい」と楢府さん。外の風に触れ、地域住民らとの交流を待ち望んでいる。そのためにも感染対策を取りながら家族と気軽に会える日が来るのを待つ考えだ。「しっかり利用者様の立場で心に寄り添い、安心してもらえるように努めたい」と意気込む。利用者の安心の生活に向け、村上博由施設長は「コロナ対策の中、利用者様とご家族の絆をこれからも大切にしていきたい」と話している。