向丘中学校のPTA(松井孝夫会長)が3月10日、同校グラウンドで花火75発を打ち上げた。新型コロナウイルス感染症の影響でイベント中止を余儀なくされた生徒たちへの激励と、地域への感謝の思いを込めた。生徒たちは、夜空を彩る花火に歓声を上げていた。
夕日が落ちた学校に、続々と生徒が集まってきた。校庭の3分の1に設けられた観覧スペースは、あっという間に一杯となった。「ヒュー、ドンドン」。PTAの思いを乗せた、大小75発のさまざまな花火が春の夜空に打ち上げられた。加藤周太郎さん(2年)は「花火を見て心が洗われた気がする。早くコロナが収束してくれるといいな」と感想を話した。
イベント代替案
同校では2021年度、合唱コンクールや文化祭、「向中フェスタ」などのイベントが相次いで中止となった。同フェスタのバザーには地域の出店もあり、PTAからはイベントの代替案を求める声が上がっていたという。
「コロナ禍で思うような学校生活を送れなかった生徒への激励と地域への感謝の念を示そう」と松井会長がPTAのつながりで市内の花火師に相談、近隣小学校で行われた花火大会を参考に約1カ月で開催にこぎつけた。趣旨を知った役員OB会からの寄付もあったという。松井会長は「学校や地域の方のご理解があってこそ。苦労したが、子どもたちの喜ぶ姿が見られてよかった」と感慨深げに振り返った。