昨年7月に閉館した小田原市民会館の大ホールホワイエに描かれた壁画を保存することを目的とした引き剥がし作業が6月16日と29日に実施された。小田原市と市民団体、東海大学教養学部芸術学科の准教授・田口かおり氏らによる「小田原市民会館壁画保存・修復・調査チーム」が作業を担当した。
壁画は、画家の故・西村保史郎(1915〜2015)の作品で、閉館を前に市民団体「市民会館思い出アーカイブ隊」が調査し、「日本の近現代美術史、建築史においても貴重な資料」としてその価値を訴えてきた。絵画の保存と修復を専門的に行っている田口氏に相談したところ、補助金や大学の研究費などを使ってその一部を保存することが実現した。
西村氏の署名がある2カ所など4点(各90cm×90cm程度)を額装保存する予定で、夏から秋にかけて分析、修復し、12月頃に展示・調査の結果発表を目指していく。
田口氏は「多くの方に愛されてきた作品だと思う。記憶の一端でも残すことができれば」と話している。