箱根土産といえば、多種多様な自然木を組み合わせ、木目を生かしながら精緻な幾何学文様を作り出す「箱根寄木細工」。江戸時代から伝わる、職人による手作りの木工品です。箱根関所のすぐ近く、芦ノ湖畔に佇む寄木細工専門店「箱根丸山物産」には、伝統的なものから若手職人の発想から生まれた新しい商品が並びます。
箱根の旅の思い出に、家族や友人へのプレゼントに・・・。見ているだけでもワクワクしてくる箱根丸山物産の寄木細工には、唯一無二の魅力が詰まっています。
若手職人の発想と発信で、未来の寄木細工を楽しもう
伝統を大切にしながら、ユニークなアイデアで続々と新商品を生み出す箱根丸山物産。その秘密は、常に新しいことに挑戦する、職人魂にあります。 社長の丸山一郎さんは、「若い人の感覚で発信することで商品や地域の魅力をPRし、寄木細工のブランド力を高め、伝統工芸を後世に残していけたら」と話しています。
- 取材メモ 驚くべきことに丸山さんは、90年代にインターネット販売の構想を準備し、その後、自社サイトを立ち上げました。Windows95が発売され、インターネットが一般の家庭に普及する前のことです。2010年にはいち早くAmazonでの販売を始め、寄木細工を幅広い層に広めています。
そんな丸山さんの下で育った職人たちは、「多くの方に箱根寄木細工を知ってもらい、実際に手にし、その素晴らしさを実感してもらいたい」と、試行錯誤を重ねながら日々、現代の人たちが喜ぶ商品づくりに努めています。 箱根丸山物産が生み出した、魅力あふれる商品の一部を紹介していきます。
頭の中の鍵で開ける、伝統工芸品「秘密箱」
箱の側面を順番通りに動かすと開く仕組みの「秘密箱」。どうなっているの??と、不思議な不思議なこの箱は、江戸時代に大切な物を仕舞っておくために旅人が使っていたそうです。
まさに、頭の中の鍵のみで開ける・・・。 「10回仕掛けは初めて秘密箱を触る人には難しくも、分かれば楽しい回数」と話すのは、企画・制作・ワークショップの指導員を務めている涌井崇至さん。
- 取材メモ 「永遠の市松」は、従来の様々な柄が入った小寄木ではなく、「市松柄」で製作した秘密箱です。市松模様は寄木細工の代表的な柄の一つで、柄が途切れることなく続いて行くことから、事業繁栄や子孫繁栄の意味が込められているそうです。
漫画『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎が着ている羽織の柄としても、注目されていますね。11巻では刀鍛冶の里の少年、小鉄が秘密箱を紹介しています。
秘密箱の進化形!オリジナル「からくり箱」
秘密箱を応用し、さまざまな形へと進化させた「からくり箱」は、箱根丸山物産オリジナルの最新シリーズ。
「TEST BOX 其の肆」は、試験管を正しい順番で抜き差しすると引き出しが開く仕掛けになっています。
試験管は強化ガラスなので花を生けても良し、ペン立てにしても良し。暮らしの中に取り入れたい、楽しくてオシャレな寄木細工です。
大切な人との旅の思い出に ハートがキュートなからくり箱
とても可愛らしい装いのからくり箱「巡り合い」は、フタをするとキュートなハートが、フタを外すと三つ葉のクローバーが出現。クローバーを幸せを呼ぶ形にすると開く仕組みです。
指輪など、大切な物を仕舞っておきたくなりますね。大切な人との旅の思い出に、お嬢さんへのプレゼントに、とてもよろこばれています。
新商品が数々の賞を受賞
- 取材メモ 箱根丸山物産の若手職人が手掛けた商品は、第62回全国推奨観光土産品審査会で特別審査優秀賞を受賞。さらに「秘密箱5寸10回 富士と椿」が、箱根ジオパーク認定特産品に認定されました。
つい手に取りたくなるような可愛らしいデザインにこだわり、大きな瞳が揺れる箱根細工の「ようじ入れ フクロウ」や、箱根から眺める雄大な富士山を天然木材を嵌め込んで表現する箱根木像嵌(もくぞうがん)という技術で表現した「秘密箱5寸10回 富士と椿」など、伝統と未来が融合した商品の数々。
インターネットでも購入できるので、ぜひ手に取って暮らしに添えてみてはいかがでしょうか。
秘密箱の体験工作を開催
箱根丸山物産の向かいにある箱根関所からくり美術館では、指導員による秘密箱の体験工作を行っています。 伝統工芸の歴史解説や職人の知恵と技術と共に、大人から子どもまで幅広い年代の方々に寄木細工を体験してもらえます。 箱根旅行のひとときに、ぜひ訪れてみてはいかがせようか。