「着物」の輝きをよみがえらせる
相模原にて半世紀以上にわたり、日本の伝統文化の代表『着物』の普及に努めてきたのが「日本美装」の藤井嘉子さんです。小田急線江ノ島線東林間駅から徒歩5分の場所で、着物の着付けやレンタルのほか、華道、茶道、舞踊教室など総合アカデミー学院を運営、多くの卒業生を送り出してきました。
そんな藤井さんは新たに、着物を劇的に生まれ変わらせる試みを始めました。長年持っていた着物の色やデザインをガラリと変化させ、その輝きをよみがえらせます。
コロナ禍で埋もれた「着物」を再生
コロナ禍で出かけることも減り、閉塞した社会を明るくしようと考えた藤井さん。「パーティーが開かれず、お披露目する機会が無くなった」「着る回数がわずかだった故人の着物」「長年着た着物だけど、少しアレンジをしたい」「デザインが派手過ぎて年齢に合わなくなったのかな」などの声に応えたいと再生に励んでいます。
1年間で依頼を受けた着物などの数は約30着。依頼者の要望を丁寧に聞き、色やデザインなどをプロデュース、友禅作家と協力し、着物を再生します。
ケース1:着物を再生した朝倉明美さん
紫色の着物を長年着ていた朝倉さん。ここ数年は着ることも減っていたということで、8歳の孫娘に十三参りに着てもらおうと再生を依頼しました。紫の色は抜いて白を基調にした反物に変化、ピンク色の桜をデザインしました。
縁起の良い鱗柄の下にはお孫さんのお名前『れいみ』を刺繍で入れました。朝倉さんは「もとの柄を生かしてよみがえらせてくれました。孫の七五三の時の帯と小物を着物に合わせるのが楽しみです」と微笑む。
ケース2:訪問着を変えた田島理香さん
深いグリーン色の柄が入った訪問着を愛用していた田島さん。用途が広く長年着ていたが、ここ数年は着る機会が減っていました。
藤井さんに依頼すると、丁寧に色を抜き、田島さんが好きな鳥が描かれた。田島さんは「もとの金の柄を生かして、鳥がいきいきとしている。どこの場所にも着ていける大好きな着物になりました」と満足気な表情を浮かべています。
ケース3:眠っている「喪服」も生き返る
藤井さんによると、タンスに眠っていた「喪服」も生き返る、喪服の再生依頼も多いという。まずは家紋を消すように柄を付け、持ち主の誕生花や無くなった方の命日にあたる花などをあしらい、よみがえらせる。
ケース4:好きなデザインで「かっこよく」着る
男性からの依頼も多いのが特長。羽織、袴をかっこよく着こなしたいなら、趣味や好きな柄を入れるのがおすすめです。ゴルフや飼い猫、花などイメージが思いついたら藤井さんと相談のうえ、イメージを膨らませましょう。
藤井さんは「おかげさまで気に入ってくれる方がほとんど。『日本の文化』を継承することも大切ですが、着たいものを着て楽しく生活するのが大事なこと」と笑顔で話しています。ご相談、お見積もりはお気軽にどうぞ。
仲間が集まる機会も積極的に開催
久しぶりにパーティーを主催した藤井さんによると、「仲間が好きな着物を着て集まるのがやはり楽しい」という。
パーティーには知人が経営する事業所で働くベトナム国籍の技能実習生9名を招きました。それぞれに似合う浴衣を選びました。浴衣を着た若手実習生たちはパーティーを楽しんでいました。「日本の伝統文化を通すと、海外の方との交流も身近なものになりますね」と藤井さんは振り返りました。