大磯町国府本郷在住の作家で、フリージャーナリストの森川天喜(あき)さん(48)=本名・孝郎さん=が、大船駅から湘南江の島駅を走るモノレールの歴史を綴った『湘南モノレール 50年の軌跡』をこのほど刊行した。森川さんは「湘南モノレールという存在が地域にとってどんなものなのか、当時を知るための資料として残したかった」と話す。
森川さんは、雑誌やウェブ媒体で旅行・鉄道・都市開発など幅広い分野の記事を執筆するフリージャーナリスト。湘南モノレール株式会社の尾渡英生前社長にたびたび取材をする中で人柄にほれ込み、親交を深めたことから、21年に発行された同社の『湘南モノレール 全線開通50周年誌』の企画制作を担った。
同書は、50周年記念誌と50回に及ぶウェブ連載の内容をベースに、当時の新聞記事や建設責任者の手記、地元商店街の反応などを取材した内容を盛り込んでいる。
森川さんは湘南モノレールについて「日本の技術的優位性を証明する手段としての側面や、地域の公共交通としての期待、そして爆撃機の設計者だった三木忠直が『空飛ぶ電車』に込めた思いなど、取材を重ねれば重ねるほど魅力を感じた」と話す。
執筆にかかった期間は約2年間。湘南地域在住だからこそ、足しげく現地に通うことができたといい「資料が残っているということ自体に、地元からの愛を感じた。湘南モノレールを通じて、地域の姿が見えてくる」と話していた。
同書は神奈川新聞社の発行。A5判、348ページ、1980円。有隣堂藤沢店のほか、くまざわ書店大船店など大手書店に並んでいる。注文も可能。書籍に関する問い合わせは神奈川新聞社出版メディア部【電話】045・227・0850。