数えきれない大切な日常の風景を１冊に――。

小田原市田島在住の写真家・Ｓａｔｏ―Ｃ（本名・上田哲司）さんが８月９日、初の写真集を出版した。「Ｍｙ Ｓｗｅｅｔ Ｄａｙｓ」と題された、40歳の誕生日に世に出た作品集には、今まで撮りためた小田原の自然や、ちょっと前でありながら今はもう見ることができない地元の風景などが独特な色彩で収められている。

Ｓａｔｏ―Ｃさんがカメラに触れたのは高校２年の時。映画に出てきた戦場カメラマンに魅せられ、母親からフィルムカメラを買ってもらい、飛び込んだのはライブハウス。「激しいパンクロックが好きで、それまで通い詰めていた場所に行って撮り始めたのが最初です」。

憧れのアーティストに直談判し、鬼気迫るステージを一心不乱にフィルムに収めていく。ライブカメラマンとして活動する一方、もう一つのライフワークとして20年以上撮り続けているのが小田原の風景だ。

「動と静、どちらも自分のその時の気持ちが出ているんだと思います」。駐輪場や公園のバスケットコート、国府津の海岸など、穏やかな中にも胸を掴まれるような切なさが含まれた地元の景色が並ぶ。

膨大な点数から本当に好きなものを凝縮した今作について「やっと出せたという思いも強い。小田原が好きな人であれば世代関係なく見てほしい」と笑顔で話すＳａｔｏ―Ｃさん。写真集はアマゾンで購入が可能で、近々デジタル版もリリースが予定されている。