真鶴駅を降りて、海へ続く1本道の途中。「トーフー」とラッパの音がなると、買い物袋を手に住民たちが集まってくる。毎週月曜、豆腐店と精肉店の冷蔵の移動販売車がやってくる。
運営するのは、湯河原の豆腐店「十二庵」と「肉の浅井」。実はこの場所は、別の精肉店があったが2022年1月に閉店した。半年ほど経ち、湯河原で移動販売を行っていた十二庵を経営する浅沼宇雄さんのところへ「お店がなくなり、買い物が大変」「坂が急で車もない」と困っている住民たちの声が届いた。そこで、同じく湯河原で家族で精肉店を営む浅井孝宏さんが高校の同級生だったことから声をかけ、2店で協力して移動販売を開始することにしたという。
品揃えは、豚ロースや牛の切り落としなどの新鮮な肉と手作り豆腐のほか、卵や野菜、総菜なども用意。販売は5分程度と短い時間だが、常連客が7〜8人はいるという。利用者は「パッと買えて、総菜などもあって助かっている」と話す。
現在は、真鶴、湯河原全域で30〜40カ所をめぐり、高齢者などの買い物難民に新鮮な食材を届けている。浅沼さんは「地域の便利な冷蔵庫がわりになれればうれしい」と話している。