【タウンニュース2024新春企画】藤沢市の 地域医療を考える 三師会連携<座談会レポ>

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【タウンニュース2024新春企画】藤沢市の 地域医療を考える 三師会連携<座談会レポ>

頼りになる「かかりつけ」に

新型コロナウイルス感染症も5類に移行し、社会生活もコロナ前に近い状態まで回復した。この長い難局に対し、時に各々で寄り添い、時に連携して手を差し伸べてくれたのが藤沢市医師会、藤沢市歯科医師会、藤沢市薬剤師会の「藤沢三師会」だ。本紙では、これまでの取り組みや、より重要視されるかかりつけなど三師会の会長に話を聞いた。(取材日2023年12月9日)

5類移行で新たなステージ

新型コロナ5類移行から半年、昨年の状況や、現在の取り組みなど教えてください。

石原 新型コロナに関しては感染者数も落ち着き、集団接種も年内で終わりました。現在は保健所と連携しながら感染状況やワクチン接種の情報を共有しています。他方、昨年インフルエンザなど他の感染症の流行があり、南北の休日診療所の発熱外来には多くの方が訪れます。その対応強化をしています。また公費負担が3月までとなっているワクチン接種は個別接種として地域医療機関で行うため、受け入れ対応を進めています。

吉田 1つは感染者の減少に伴い、訪れる市民の方々や医院自体の負担を強いてきた感染症対策の見直しです。安全を損なわずどう負担軽減をするか。みなさんと話し合いを重ねながら、年齢や基礎疾患の有無など要素を考え、基準点を探しています。もう1つが健康情報の提供です。口腔ケアと全身疾患の関わり、オーラルフレイル予防などコロナ禍の中、動画制作、メディア活用を通して情報を発信してきました。今後、市民参加の企画もありますので、両輪として続けたいと考えています。

村上 コロナ禍で開催できなかった、市民の方々に向けたイベントが徐々に再開できました。小学生の薬剤師体験教室や市民向け講演会、また、各地域では市民の皆様に向けて「おくすり街かど講演会」として薬が関係するフレイルの話題や薬の正しい使い方などのお話をしました。昨年は薬に関係するニュースが増え、より一層、薬をきちんと使っていただけるようもっと市民に寄り添った啓発が大事だと感じています。

コロナ禍乗り越え連携強固に

コロナ禍を通して、三師会の連携も強固になったと聞きました。

石原 今回のような感染症の拡大は繰り返す可能性があります。ワクチン接種や在宅医療など各々の話し合いを通して協力体制は強化されたと考えています。また、市内で充実した対策ができるのも、この関係があってこそ。大きな枠組みに加え各テーマを定めた部会でも、どう市民に寄与するべきか考えています。

吉田 コロナ禍でより培われたことはもちろんですが、口の中の疾患が全身につながることをアピールしてきた中、医科、薬科のみなさんのみならず、ヘルパーや理学療法士、作業療法士など、専門性の高い多職種連携で情報共有を行い、市民の健康を支える話し合いも進んでいます。

村上 ワクチンの集団接種などの対策対応を通して、より顔の見える関係、信頼関係が築けたと感じています。各々が各々の責務を果たした結果だと思います。薬剤師会でも「薬を安全・確実に市民に届ける」という誇りをもって会員が奮起。コロナワクチンの希釈・分注業務と共に温度・品質管理が重要な各医療機関への供給も当会が担いました。これは県内では藤沢のみで、全国的にも珍しいケースです。各会のみなさんも同じく誇りをもって尽力された。そんな三師会だからこそ、今後も市民によりよい医療が提供できると考えます。

それぞれの役割担い三師会災害連携

感染症対策が注目されてきましたが、いつ起こるかわからない災害対策にも注力されていると聞きました。

石原 藤沢市を含め、協議を進めています。東日本大震災前のマニュアルの改訂を進め、いつ起きるかわからないからこそ、早期に机上訓練をし、備えとしたいと考えています。もちろん、医師会としても被災後、少しでも早く復帰し、救護にまわるための計画書としてBCPの整理を急いでいます。

吉田 避難所運営の中で、歯科も重要な役割を担います。衣食住が揃い落ち着いてくると入れ歯がない、歯が痛いなど口の状態が悪く食事がとれない方がでてきます。そのケアに走ることとなります。もう1つの大きな役割が身元の確認。身元不明なままだとご遺族の無理な捜索などで二次被害が起きかねません。警察と協力して治療痕と照合するなど速やかな身元確認ができる体制の構築を進めていきます。

村上 災害時には医薬品の供給が大きな役割となります。また、有事には応急救護所での医薬品の仕分けや供給が薬剤師の役割になります。医師会や歯科医師会、藤沢市を含め、医薬品や衛生材料等の選定や見直しを平時より行っています。東日本大震災では3日、薬の供給が滞ったと聞きま5 類移行で新たなステージコロナ禍乗り越え連携強固にす。災害時に医薬品が滞りなく供給できるよう必要な医薬品を薬剤師会や会が運営する会営薬局で備蓄していますのでご安心ください。

より重要性増す「かかりつけ」

「かかりつけ」の重要性がより叫ばれていますがその点では。

石原 何かあった時に頼りになる「かかりつけ医」はとても価値があると思います。単に診察するだけでなく、通う中で生活のご様子やご家族のことなどを含め、最適な治療プランを提示することができるからです。会員の開業医のみなさんは、単に病気を診るだけでなく、ご家族含めた「人」を診て、生活の質も大事にしようと配慮してくれています。何でも気軽に相談してほしいと思います。

吉田 長いお付き合いの中で、年齢を重ねていく中の変化に合わせた適切な治療が提供できると思います。また、歯科の場合は予防に向けた定期的なメンテナンスが重要。「痛くなったら行けばいい」では、時間的にも経済的にも負担が大きくなります。きっかけとしては成人歯科健診がオススメです。年代ごとに必要なチェックをしてくれてアドバイスも受けられますので最初の一歩にピッタリです。

村上 薬局は処方せん調剤以外にも一般用医薬品や健康食品の取扱いもあり、地域で気軽に立ち寄れる場所でもあります。その気軽さを大切に、かかりつけ薬局として貢献できるよう「おくすり相談薬局」事業を進めています。おくすり相談薬局は薬に関する事だけでなく、健康などのご相談にもお答えします。また、日頃からかかりつけ薬剤師を持つことで薬剤師がちょっとした体の変化に気づくことも少なくありません。皆様の健康のよりどころとして是非、ご利用ください。

市民へのメッセージをお願いします

吉田 当会は市民のために貢献する公益社団法人です。その使命を胸に今年も、みなさんのお口の健康につながる事業を進めていきます。

村上 薬局が気軽に相談できて、地域の頼れる存在になりたいという思いをもって事業に取り組む一方、医薬品が適正に使用していただけるよう、啓発活動に取り組んでまいります。

石原 財務省の提示した診療報酬の改訂案は、コロナ禍の最前線で戦った医療機関の将来を脅かす内容です。会として声を上げていきますのでみなさまの応援があれば心強いです。また、本年も三師会一丸で地域の健康増進、有事への備えに尽力いたします。

住所

神奈川県藤沢市

公開日:2024-01-01

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