550年以上の歴史を持つ松田町の萬松山延命寺(林俊英住職)の仁王門が約100年ぶりに修繕され、4月8日に落慶式が行われた。当日は檀家の地域住民らや近隣の曹洞宗の寺から僧侶が訪れ、完成を祝った。
同寺は1472年に開山。毎年春には境内で牡丹が花を咲かせ、4月末の「ぼたん花祭り」で知られている。本堂天井には花の絵が描かれており、東国花の寺百ヶ寺にも登録されている。
寺の入口左手にある仁王門は1923年の関東大震災により一度倒壊。その後再建され約100年間参拝者を迎えてきたが、近年では老朽化の影響で門自体が傾き、危険な状態にあった。そこで2022年12月、開山550周年事業の一環として護持会も協力して仁王門の修繕が決まった。
作業は「これまでの歴史を継承する」という思いもあり、解体時に出たマツの木も流用。壁面は明るい印象にしようと漆喰壁に。温度と湿度が一定に保ち、中に安置されている仏像の保管にも考慮した。また、中に収められている金剛力士像と多聞天像、増長天像も合わせて修復。窓枠を見やすいものに変更、台座を高くするなど仏像をより目立たせたという。
落慶式には地域住民ら約60人が参加。町内在住で檀家の70代男性は「立派な姿にできて良かったです」と笑顔を見せた。
同寺の林昌平副住職は修繕に協力した地域住民らに感謝を述べつつ「仁王門の修繕はこの寺にとって大きなイベントなので無事完成して良かった。お時間がある方は一度見に来ていただけたら」と話した。