川崎市内の若手経営者などで組織する「一般社団法人川崎青年会議所」(略称:川崎JC)。
全国各地に広がる青年会議所LOM(Local Organization Member)の一つで、1951年から川崎市を拠点とした地域活動を行っています。20代前半から40歳とメンバーの年齢層も幅広く、会社員、経営者、個人事業主などさまざまな職種や分野のリーダーが集まる組織です。
- その団体内にある茶道部会「青芳会」(せいほうかい)が、記念すべき60周年の節目を迎えたということで、いったいどのような活動をされているのか、取材にお邪魔しました。
お話を伺ったのは、青芳会の第61代会長を務めている中野絢斗(けんと)さん。60年以上にわたる歴史のなかで、史上最年少での会長就任だそうです。親会である「一般社団法人川崎青年会議所」でも、副理事長という要職を務めているといいます。
青芳会の歴史
青芳会の歴史は、1959年までさかのぼります。
当時、川崎青年会議所の発案により、高校生の奨学金を集めるチャリティー茶会を川崎大師(川崎市川崎区)で開催しました。その5年後の1964年に、川崎大師・茶道裏千家淡交会・川崎青年会議所の三者共催で、川崎大師御供茶式とお茶会を毎年開催することになり、川崎青年会議所に茶道部会が発会しました。
「青芳会」という会の名称は、発会50周年を記念して、裏千家の御家元からいただいたものだそうです。
現在、40歳以下の現役川崎青年会議所メンバーが約10名、それに40歳以上のOB/OGも加えて活動しています。仕事や地域活動で忙しい日々にもかかわらず、少なくとも月1回、多いときは月4回ほど、お稽古をしているそうです。
最近の活動
4月 川崎大師での御供茶式・お茶式
上記の歴史でご紹介した、川崎大師の御供茶式とお茶会を毎年4月に開催しています。
御家元もいらっしゃり、ご本尊に献茶をされます。また、北は北海道、南は沖縄といったように、全国各地から参加者が訪れます。大都会である川崎に定着する、歴史ある伝統行事の一つとして地域に愛されています。
大相撲川崎場所での呈茶席
大相撲の川崎巡業(大相撲川崎場所)が川崎市とどろきアリーナで行われるにあたって、一般のお客さんにも無料でお茶をふるまい、大相撲と同時に、日本の伝統文化を感じてもらっているそうです。
60周年記念祝賀会
青芳会は、発会から60周年を迎え、裏千家の御家元も招いて2024年10月に、川崎日航ホテルで記念祝賀会を開催しました。祝賀会では、記念のお茶席や懇親会のほか、御家元からの記念講話もありました。
全国各地からの参加者に対し、中野会長はじめ会員一同が一致団結し、川崎の魅力を知ってもらうため、さまざまな設えでおもてなしをしました。
具体的には、お茶席には久寿餅のゆるキャラ「チョリ山チョリ男」にも登場してもらったり、祝賀会では「市ノ坪囃子保存会」が伝統的な獅子舞踊りを披露したり。さらに、お茶会で使用されたお茶碗は、川崎市出身の陶芸家で人間国宝の濱田庄司さんの作品で、中野会長の私物とのこと。
最後に、会長の中野絢斗さんに、茶道を始めようと思ったきっかけを伺いました。
「もともと、学生時代にロシアを訪れた際に、モスクワ大学の茶室でロシア人に茶道を教わったことがきっかけでした。自国の文化を知らないことに恥ずかしい想いを抱き、いつか茶道を始めたいと強く思いました」
そんな中野さんは、川崎市高津区出身の27歳。イギリスの大学院や民間企業勤務を経て、今は中央省庁で官僚として働いています。中野さんは、「茶道は、忙しい仕事や地域活動の合間に、自分を見つめ直す時間ときっかけを与えてくれます。もちろん茶道にも茶道の大変さがありますが、青年経済人だからこそ、やってよかったと本当に思っています」と茶道の魅力を語ってくれました。
- 「川崎青年会議所には、本当に面白いメンバーが大勢います。ぜひ、少しでもご興味を持たれた方はご連絡ください!」