小田原・箱根エリアで災害時に帰宅困難となる観光客の安全確保や情報提供などの対応を検討するための会議が、6月16日に小田原合同庁舎で行われた。行政、観光、交通機関や関係団体の担当者約30人が参加し実効性のある防災対策の構築に向け議論を交わした。
この会議は、県西地域の観光振興や活性化を担う(一社)かながわ西観光コンベンションビューロー(古川達高代表理事)が主催。近年頻発する自然災害への対応として具体的な防災対策を構築するため、現状の対応策と課題について共有することを目的に行われた。
冒頭で古川代表は、県西地域で発生した災害事例に触れ、「万が一の際にどうしてよいか定まっていない。今日を出発点として方向性を決めていきたい」と呼び掛けた。
会議では、神奈川県が10年ぶりに改定し今年3月に公表した「地震被害想定調査」などを参考に、大地震発生時の対応策について議論が行われた。県の調査によると、地震発生時に帰宅困難となる観光客数は、小田原市で1万9900人、箱根町で4万7560人と推定されている。
参加者からは進行中の取り組みや現場で感じる懸念点などが示された。行政担当者からは「避難者を受け入れる施設は決まっているが、どれくらい収容できるかわからない」「海外観光客への周知方法は検討段階」と話した。また観光従事者からは「避難所としての役割を果たしたいが、慢性的な人手不足で対応ができるかわからない」といった声があがった。さらに「インターネットがつながらない状態を想定すべきではないか」と、情報発信手段の課題も指摘された。
今後ついて同団体は、検討を重ねて年内にガイドラインを作成し、対応策を共有する方針を示している。