南区出身で歌手や俳優、声優など多彩なジャンルで活躍する松本梨香さんが演出・出演する舞台「ナビゲーション」が９月12日（金）から14日（日）まで、ＫＡＡＴ神奈川芸術劇場で公演される。　チケットはＳＳ席１万円、Ｓ席７千円、Ａ席５千円。チケットサイトhttps://t.livepocket.jp/t/navi2025で予約。

「生まれ育った街、横浜でできるなんて」

　この作品は昨年、池袋演劇祭で豊島区町会連合会会長賞を受賞した。今回は、松本さんの40周年記念特別公演としてさらにグレードアップ。テーマ曲と挿入歌も新たに作曲した。松本さんは「プロデューサー、演出、主演と全て自分でやるのは初めて。それが生まれ育った街、地元横浜でできるなんて感謝しかない」と感慨深げに話す。脚本はドラマ『ごくせん』などを手がけた江頭美智留さん。

　物語の出発は横浜。ひょんなことから車で死体を山形まで運ぶことになった男と女が道中、様々な人と出会いアクシデントやトラブルに見舞われながらも成長していく――そんな笑って泣ける「ハートフルロードコメディ」だ。「ちっちゃな子ども達からお年寄りまで分かりやすく笑える場面が沢山ある。私がドリフターズのコントで育っているので、期待を裏切らない笑いが体に染みついているんです」と作品の魅力を話す。

　舞台で使うのは本物の車。「購入して赤く色を塗って改造した車で、ウィンカーも点灯します」とにっこり。背景の映像にもこだわり、車の疾走感もあわせて演出するという。「お客さんが見て、笑って、拍手してくれたりする熱量は舞台に必要なもの。お客さんと一緒に作る舞台にできれば」

「やっぱり舞台が好きなんだなあ」としみじみ。口立てで役者に演出する時などに、大衆演劇の座長だった父の姿がよぎる。「役者の私にとって師でもある父のまだ足元にもおよばない。父の背中を追いかけている気がします」。自身の原点である「舞台の上」で、40年のキャリアの集大成となる今回。「みんなに元気になってもらえるような、強力ビタミン剤になりたい」と意気込む。