4月から休館している真鶴町立中川一政美術館をめぐり小林伸行町長は8月20日、町議会第3回定例会の一般質問で美術館にかかる費用を町の予算から外部化する方針を検討していることを示した。同美術館は現在、予定していた改修工事が見合わせとなっている。
同美術館は1989年に開館。真鶴町を拠点に創作活動を行い、文化勲章を受賞した中川一政(1893年―1991年)の作品約850点を収蔵している。来館者は1991年度に最多の約8万5千人を数えていたが、24年度は約5千人にとどまり、収支は年間約2300万円の赤字となっていた。
こうした経緯から町は当初、運営方法の見直しや老朽化が進んだ建物の修繕を行うため、4月から来年3月までの休館を決定。今年度の当初予算では工事費に約2700万円を計上していた。
しかし、6月に行われた町議会総務経済常任委員会で小林町長は「隣接するお林展望公園や内袋観音、亀ヶ崎と一体的に検討を行う方が望ましいため改修を見送ることを考えている」と説明。その後、定例会一般質問で、「美術館にかかる費用を外部化することが大前提である」と述べた。
早期再開望む声も
これまで同美術館の運営については学識経験者や中川一政の遺族らが参加する同美術館運営審議会で話が進められてきた。外部化の具体的な手段について同美術館を運営する町教育委員会は取材に対し、ネーミングライツや運営を外部に委ねるなどさまざまな手法での検討を続けているものの、「現時点で具体的に決まっていることはない」と話した。また、一部の収蔵作品を遺族に返却し、他の作家の作品を展示する案なども出ているという。
同審議会では町の財政面について理解を示しながらも、早期再開を希望する意見が挙がっているという。次回の審議会は年内の開催を予定している。