指定難病の「クッシング病」と闘いながら絵を描き続けている、逗子市在住のMIYUKIさん(63)が、キッチン&アトリエ「ラ・パール・デサンジュ」(逗子6)で9月28日㈰まで個展「夢幻空華」を開催している。絵の捉え方は人それぞれだが「何があっても大丈夫というようなことを感じてもらえたらうれしい」と来場を呼び掛ける。
「クッシング病」は副腎からコルチゾールというホルモンが過剰分泌されさまざまな合併症を引き起こす病気で、国から「指定難病」に認定されている。
MIYUKIさんは2014年に同病と診断されたが、それより以前、40歳手前くらいから、食べ物に気を付けていても高血圧や高脂血になったり、結石、動悸、顔のむくみ、少しの打撲で内出血をするなど、原因不明の症状に悩まされていた。今も治療のために1日4回薬を飲み続けるが、気持ちが悪くなるため、何もできず2時間ひたすら寝続けるという状況にある。
高校や大学時代には漫画研究会に所属し、イラストを描くことが好きだったMIYUKIさん。就職してからは絵を描くことはなかったが、コロナ禍で夫から「この先どうなるか分からない。好きなことをやりなさい」と言われ、再び絵に向き合った。「曼荼羅のような宗教画や虫、魚、花、骨などが好きで、ひたすら描こうと思い、1年間で1000枚の鉛筆画を描いた」。絵は独学だというが、大学時代にやなせたかしさんが主催するイラストコンクールで入賞した実績を持つ。「『入選した人が売れるとは思ってないが、何か大切なものを持っている人を選んだつもり』とおっしゃっていただきうれしかった」と振り返る。
病状は悪化していて筆を持つだけでも痛みを伴う。いつまで描けるか分からないが、今は「絵があるから生きていける」と思っている。自分の絵を通して「地域の中で人と人をつなげ、仲間を増やせたら」と願う。
個展の会期は9月28日まで。会場の「ラ・パール・デサンジュ」は店内12席の創作料理店。壁をギャラリーとして貸し出し、地域の文化活動の応援をしている。奥津伸司オーナーは「MIYUKIさんの作品は独特の世界観で引き込まれるものがある。食事共にお楽しみください」と話した。
同店☎046・872・6733(月曜休)

展示作品の中の一番のお気に入り