「平塚ゆかりの作家 中勘助を知る会」(大藏律子会長)が11月10日(土)、「詩人・エッセイストとしての中勘助を知るシンポジウム」を升水記念市民図書館(八重咲町)で開催する。勘助に詳しい有識者が講演し、詩や随筆にのぞく人物像に迫る。
小説『銀の匙』で知られる勘助は1924年、家族の療養のために現在の浜岳中学校の東側に居を構え、7年余りを過ごした。当時の生活は日記体の随筆『しづかな流』につづられ、海岸周辺の自然風景などが191編の詩に残されている。
シンポジウムでは、同会の飯尾紀彦さんが随筆に描かれた地元の自然描写を解説する。また、野尻湖に浮かぶ琵琶島に滞在した際の随筆『島守』について、同地に縁のある長野日大高校教員の宮川厚樹さんが講演。詩人で文芸評論家の林浩平さんや、勘助を研究する東京都市大学准教授の木内英実さんも講演する。
同会はこれまで、詩に描写された風景をたどるマップを制作。今年5月には桃浜公園に文学碑を建立するなど、平塚との縁を掘り起こしてきた。
飯尾さんは19日の記者会見で「平塚をこんなにも美しい日本語で描いた人がいたのかという思いがある」と語った。元市長で同会会長の大藏さんは「詩は小説より親しみやすく、広く市民に知ってほしい」と述べている。
シンポジウムは入場自由で定員100人。詳細は同会・飯尾さん【電話】0463・31・4691へ。