国内外で活躍する現代美術アーティストによる5人展「FAR WAY III(スリー)遠くへ」が、スタジオK(小網代55の8)で開かれている。
参加するのは、勝又豊子さん、倉重光則さん、神田毎実さん、木原真男さん、ウテ・ザイフェルトさん。各地の美術館やギャラリーの企画展などで知り合い、昨年10月に開催を決めたという。
「FAR WAY」展は、諸磯在住の勝又さんと倉重さんのライフワークのひとつで、その第3弾。過去2回も海外アーティストを招聘(しょうへい)。普段は個々に活動し、異なるアート表現を追求する作家たちが同じ空間で発表することで、作品意図だけでなく互いに作用し合うコンビネーションの面白さも提示する。
それぞれのインスタレーションにその都度視線が行き来する様子は“旅”で、鑑賞者はさながら“旅人”だ。
空間まるごと作品
会場のスタジオKは、三崎中学校入口交差点から奥まった倉庫の一角にある。もとは材木店の工場で、経年劣化によってコンクリートの床ははがれ、トタンの壁はさび、独特の空気感が漂う。「真っ白な壁のギャラリーにはない良さ。作品がより映える」と倉重さんは話し、空間全体を作品として表現する「インスタレーション」と呼ばれる手法にマッチする。
同展でも倉重さんの代名詞であるネオン管を使った作品が、存在感を放つ。また、神田さんはところどころさびて穴が開いたシャッターを魚眼レンズで長時間撮影。太陽や雲の動きによって変化する外光の漏れ方に着目し、刻一刻と表情が変わっていく様子を映像作品に仕上げた。
多様な表現で魅了
美術の元非常勤講師だった勝又さんは、これまで一貫して「身体」をモチーフにした作品を創作。肌など自身の身体の一部を写真で切り取り、立体空間のなかに落とし込む。
また、木原さんはクラフト紙製の紙袋や端材など廉価な素材で、自分が感じた「声」を表現。ドイツのブレーメンから来日したウテさんは、三浦の海などで採集した「水」を用いた作品を出展している。
近年、ビエンナーレやトリエンナーレといった現代アート展が日本国内でも活況で、後続のアーティストが続々と誕生。現代美術が注目を浴びているが、「自分は自分。見る目が多様化しても本質は変わらない」と倉重さんは魅力を語った。
会期は6月15日(土)・16日(日)・22日(土)・23日(日)、午後1時から7時。入場自由。
詳細は勝又さん【携帯電話】090・4670・1194