川崎市は10月18日、台風19号による浸水被害により休館が続いている市民ミュージアムの地下収蔵庫の調査を行った。その結果、約26万点ある収蔵品のほとんどが水に浸かっていることが分かった。地下には収蔵庫が9個あり、美術・歴史・民族資料、現代美術品、漫画やフィルムなどが収められていた。
同館で保管している主な作品は、日本画家の大矢紀作「昭和新山」など32点、安田靫彦作の日本画「草薙の剣」(購入費7800万円)、トゥールーズ・ロートレックのグラフィック作品「ムーラン・ルージュ」(購入費2430万円)など。
市によると、排水した18日に地下収蔵庫を調査すると、内部の収蔵品が水に浸り散乱していたという。冠水時は固い扉に守られているという可能性もあったが、収蔵品は被災、今後は国からの支援を仰ぎながら対応にあたる。
収蔵庫がある地下は温度や湿度が安定しているため、収蔵品を置いておくためには、最適な場所だったという。市担当者は「正確な被害はまだ分からない。収蔵品は守られていると期待していただけに悲しい思い」と話しいている。
台風により同ミュージアム周辺には大量の雨が降り続け、施設の地下に水が流れこみ水没。設備等が破損し停電が続いている同館では、台風が過ぎ去った時から排水車で排水作業を行っていた。