「たった一度の生を懸命に生き切ったスサナオノミコトの物語、私たち日本人がどこへ向かうのか、答えはここにある」と思う。台本を読んだ後に詩が浮かんだ。それはけして大げさなものではなく、すらすらと自然に言葉が口から出てきた。
「建国記念日スペシャル」として、この日にやることに意義がある。俳優・田村亮の朗読と塩入俊哉のピアノでいざなう古事記の調べ。多少脚色されたものであることは理解している。しかし、一般に現存する最古の歴史書といわれるこの神々を主役にした書がこんなにも人間くさいものであることを初めて知った。内容は突っ込みどころが満載。もしかしたら、人間というものは昔も今も根本的なところは変わらないのかもしれない。
声とピアノ、照明による演出だけのシンプルな朗読劇。実は僕自身が一番楽しみしているんだ。
成瀬 英樹(なるせ・ひでき)作曲家 2016年AKB48「君はメロディー」(オリコン1位・紅白歌合戦歌唱曲)。現在まほろ座の仕掛人として各種公演を手掛ける。